サンクコストを回避するには【ゼロベース思考を癖にする】

公開日 2021-11-13 最終更新日 2021-11-13

普段生活していて、「あのとき損切りすればよかった」と思うことが多々あります。

それは株式など金融投資だけでなく、些細なことでも人間はなかなか損切りできません。
適切なタイミングで損切りできないと、本当は得られるはずだった機会を失うため、トータルで見れば損失が大きくなります。

そこでこの記事では、損切りできるマインドを持って、人生を前へ進める方法を解説します。

サンクコストを回避するには【ゼロベース思考を癖にする】

人間は時間やお金を投資すると、なかなか損切りできません。
「せっかくここまでお金を掛けたのだから」
「ここでやめるのはもったいない」
とズルズル続けてしまいます。

その結果、もっと損が発生し「あそこでやめておけばよかった」となるのです。
この返ってこない費用を、サンクコスト(埋没費用)といいます。

サンクコストは国家規模で起こる

サンクコストの最も有名な例は、コンコルドです。

コンコルドとは、フランスとイギリスが共同開発した超音速旅客機です。
開発当初こそ「ニューヨーク-ロンドン間が、3時間を切る高速運行で可能」との触れ込みで、世界各国の航空会社が発注しました。

しかし騒音や燃費の悪さから、キャンセルが相次ぎます。
本来ならこの時点で早々に撤退すべきでしたが、それまでかけた多額の開発費用を惜しんでしまいました。
結果的に、1969年の開発スタートから2003年の撤退まで、実に34年もの期間がかかりました。
その間、製造されたのは、プロトタイプ2機を含めた20機だけです。

そうしてコンコルドは、「過去に投下した費用を惜しみ、撤退時期を誤った最も有名な事例」という不名誉な称号を得るにいたりました。

時間とお金を投入すると、なかなか撤退できない

こんな国家規模の話でなくても、サンクコストは日常生活で発生します。
例えばこんな場合、あなたならどうしますか。

1,800円を支払って、映画を見に行きました。
しかし開始30分で、「なんてクオリティの低い映画なんだ」と気づいたとします。
それでも最後までみるでしょうか、それとも気づいた時点で席を立つでしょうか。

おそらくぼくを含め大部分の人が、「最後まで我慢してみる」を選択するでしょう。
なぜなら、最初に支払った1,800円が惜しいからです。

しかし2時間の映画であれば、30分で席を立てば1時間半を取り戻せます。
1,800円を惜しんで最後まで見た場合、もし自分の時間給が2,000円であれば、1時間半分の時給である2,700円の損失になるのです。

ちなみに投資漫画の『インベスターZ』(2巻)では、「つまらない映画を見させて、何分で席を立てるか」を新人にテストすることで、投資家として資質があるかどうかを見ています。

人間には時間の概念がある、ゆえに失敗する

こういった日常のサンクコストを無くせば、時間とお金をもっと有意義に使えます。
一方、おそらくこれを読んでいる多くの人が、「あそこでやめればよかった」を何度も経験していると思います。

損することがわかっていても、人間はなかなか損切りできません。
なぜか?
人間は時間軸を、「過去 → 現在 → 未来」と時系列で考えてしまうからです。

本当は「現在」でしか生きていない

本来、人間はたった今しか生きていません。
人間にとって存在している時間は、「現在」だけです。

しかしぼくたち人間は、そう考えません。
現在より前には過去があり、現在の後には未来があると時間軸でとらえます。
そのため「過去が現在につながり、現在が未来につながる」と、当然のごとく考えます。

結果が出ていないことは損切りすべき

時間軸で考えるのが、間違っているわけではないです。
そもそも時間軸という考え方が前提にないと、スケジュールや計画を作れません。

しかし結果の出ていないことに対しては、「時間とは、たった今があるだけ」と思うようにしたいです。
なぜなら「過去があるから今がある」に縛られると、コンコルドのように撤退できず傷口が大きくなる一方だからです。

続けていて結果が出ていないなら、抜本的にやり方を変えたり、スッパリやめて別のことに時間やお金を使わないと状況は改善しないのです。

サンクコストを回避する3つの方法

ではどうすれば、このサンクコストを回避できるか。
方法は、3つあります。

  1. 「サンクコスト」という言葉を知る
  2. ゼロベースで考える
  3. 周りから客観的な意見を聞く

1. 「サンクコスト」という言葉を知る

ここまで読んでくれた人は、半分以上、その対策ができています。
いちばん大切なのは、「サンクコスト」という言葉とその意味を知ることです。

言葉は思考するための道具なので、状態を表す単語を知っているかどうかはものすごく大事です。

「サンクコスト」という言葉を知れば、同じような状況におちいったときに、「これはひょっとしてサンクコストなのではないか。ということは、合理的な判断ができていないのではないか」と気づく可能性が出てきます。

「サンクコスト」や「損切り」という言葉を知らないと、やめる選択すら頭に浮かばないかもしれません。

2. ゼロベースで考える

2つ目の対策に、「ゼロベースで考える」があります。

ゼロベースとは、「時間とは、たった今しか存在しない」と物事をフラットに捉え直すことです。
過去にどういった流れがあり、どれだけの時間とお金を投資したとしても、それらと現在とは関連性がないと考えるのです。

現状だけに注目する

現状だけを考えるために、「過去にどれだけ時間とお金を投資してきたか」を思考から切り離すのが大切。
ゼロベースで物事を捉え直すことができれば、結果が出ていないものに対して「やり方が悪いのではないか」「時間とお金を、別のことに振り分けたほうが良いのではないか」と視野を広げられます。

継続するかどうかを考える際は、ゼロベースを思考の癖にしたいです。

3. 周りから客観的な意見を聞く

周りから、意見を求めるのも有効です。

自分が合理的判断をできないのは、「ここまで時間とお金をかけたから」と惜しい気持ちがあるためです。
しかし他人は、時間もお金も投入していません。
「惜しい気持ち」に共感したとしても、自分の利害とは関係がないため、本人よりも合理的な判断ができます。

「この人の意見は素直に聞ける」という人に相談する

ただし、人から意見を求めるときには注意があります。

人間は、誰の意見でも素直に聞けるわけではありません。
もし相談した相手を心のどこかで見下していれば、アドバイスをもらっても「こいつはわかってない」と反発する場合があります。

相談する際には、「この人の意見は客観的で信頼できる。素直に聞ける」という人を選ぶようにしましょう。

自分の身に降り掛かったサンクコスト。不要なMacをどうするか?

ぼくがこのサンクコストの記事を書いたのは、MacBook Proの売却がきっかけでした。

ぼくは2019年に、MacBook Pro 16インチを購入しました。
アップルストアでメモリとCPUをカスタムし、価格40万超えと当時の自分としてはかなり高額なコンピュータを購入しました。

最低5年、使うつもりが…

そのときは「最低5年は使おう」と思っていたので、先行投資のつもりでいました。
ところが先日、MacBook Pro 14インチを購入したら、考えがコロッと変わってしまいました。

MacBook Pro 14インチはチップの性能が劇的に進化しており、さらにディスプレイが異次元レベルに美しいです。
MacBook Pro 14インチを購入したことで、最低5年使うつもりのMacBook Pro 16インチ(2019)をまったく使わなくなったのです。

このように思った詳しい理由は、以下の記事に書いてあります。
>> 複数Macをやめた理由【MacBook Pro14インチだけでよい】

心情的には手元に残しておきたい

サンクコストを知らなければ、おそらくそのまま手元に残していたでしょう。
かなり費用を掛けたMacなのに、まだ2年弱しか使っていません。
自分としては、投資した費用を回収できた気が全然しないのです。

ゼロベースで捉えると、どう考えても手放すべき

しかし手元に残したとして、MacBook Pro 14インチを脇にどけて16インチを使うなどしないでしょう。
結局、MacBook Pro 16インチはデスク上で場所を取っただけで、数カ月もしくは数年後に売却。
当然ながら、売却価格は今より低下します。

高額なコンピュータを購入したのは、あくまでも過去の自分。
そのときにした選択と、たった今の状況とは関連性がありません。

そうゼロベースで見れば、「どう考えても、今すぐ売却したほうが良い」と思った次第です。

まとめ

こんな偉そうな記事を書きつつも、毎日過ごしていて「サンクコストを的確に回避できている」とは自分自身まったく思っていません。
時間とお金をかけた際は、どうしてもそれに固執してしまいます。

ある程度はしょうがないと思いつつ、サンクコストは回避するに越したことはないです。
限りある時間とお金を、費用対効果の高い部分へ投下していきたいですね。
この記事をきっかけに、サンクコストについて考えてもらえれば幸いです。