香港一人旅 2-1 中国人ではありません

香港の旅行記の12回目です。

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特にアラームを掛けずに寝たのだが、目が覚めたのは朝の6時だった。10時までMacを叩きながら、差し迫っている仕事を片付けたりブログを更新したりした。

今日はまずどこへ行こうかと考えたが、そこはやはり昨日辿り着けなかったピークトラムだろう。ピークトラムがどういったものかまったくわからないが、とりあえずそこにいって、その後のことは到着してから考えようと思った。まったくわからないのにその場所を目指して、しかもなかなか辿り着けない。まるでカフカの「城」のような話である。

服を着て荷物をリュックに詰め込む。おそらくスマホで事足りるのでパソコンは置いていきたかったが、ホテルの部屋に置いていくのは不安が残る。迷った挙句、持って行くことにした。パソコンの重みが二日目の疲労した肩にぐっとのしかかった。

昨日の夜に歩いたホテルから駅の道を写真を撮りながら歩いて行く。道路は活気づいていて人と車が行き交っている。そこらじゅうで車のクラクションが鳴り響いていた。

ホテルチェックイン時にデポジットで500ドル預けたため、銀行に寄って新たに500ドルを海外クレジットでキャッシングする。さて、後は再びピークトラムを目指すだけである。

昨夜ホテルに行くのにグーグルマップを頼りにしたのだが、ふとピークトラムも検索すれば出てくるのではと思い立つ。カタカナでピークトラムと入力するときちんと目的地を示してくれた。どうやら20分ほど歩くと到着するようだ。ナビ通りに進んでいくと、道と道の間を矢印が漂い始めた。画面を見ていると一体どっちの道を歩いているのかわからなくなった。

ちょうど後ろから白人の中年女性がやってきたので、聞いてみることにする。“Which way I walk?”とiPhoneの画面を見せながら怪しい文法の英語で尋ねる。「ここに行きたいんです」とマップ上のピークトラムを見せると、「ごめんね、私は中国語が話せないの」と前置きした後に英語で話し出した。

いや、僕も中国語は理解できませんが…、と思ったが、余計なことは言わずに話に耳を傾ける。どうやら今歩いている道をまっすぐに行けば着くらしい。“Thank you!”と言って別れを告げ、ピークトラムへ向けて再び歩き出した。(続く)


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。