香港一人旅 3-4 最後の食事

2015-03-03 8:48

香港の旅行記の25回目です。1〜24回目は香港一人旅 archivesからどうぞ。

 

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2番ターミナルから搭乗口で受付を済ませて2階のレストラン街へと上がった。時刻は10時半。少し早いが昼食をとって、香港での最後の食事としようと思った。香港ドルの残金は、電車賃の100ドルがなくなり残り数十ドルとなっている。足りる気もするが不安になりながら食事をするのは嫌なので、最後に100ドルのキャッシングをすることにした。

 

ここで初日の空港での食事からずっと、麺類しか食べていないことに気がつく。麺類大好きだけれども、さすがにお米が恋しくなってきている。フロアを一周りしてみて、広めの中華料理店があったので入ることにする。まだお昼には早い時間だからか、お客さんの入りはまばらだ。食べているものを見てみるとやはり麺類が多い。

 

広々としたボックス席に座ってメニューを広げてみる。広東語と英語が書かれた中から、「飯」と書かれたものを選ぶことにする。よくわからないが、チャーハン的なご飯類が出ることを予想する。フロアにはおばはんと若いあんちゃんの二人がいるのだが、例によってこちらに気づく気配はない。手をあげてアピールするが、だいたい無視される。しばらくすると「はいはい、わかりましたよ」と観念した様子で、おばはんが僕に近づいてきた。

 

“This one,please.”とメニューを指さして注文してみる。するとおばはんがなんだか色々話してきた。またである。なんですんなりいかないのだろうか。このおばはんは怒り口調の人らしく、なんだか激しい調子でまくし立ててくる。なんら悪いことはやっておりませんと黙っていると、別のメニューを持ってきて僕の前へ広げてみせた。

 

また時間外メニューを選んでしまったパターンかなと思いつつ、広げられた中から「飯」と書かれた一品を選ぶ。えらく長いメニュー名だったので不安があったのだがその予感は的中し、またもやおばはんが色々と言ってくる。

 

まったくもってよくわからないが、客が色々と選ぶ必要があるらしい。それを速く選べとせっついてきているようなのだ。しかしせっつかれてもそもそもどんな選択肢があるのかわからない。値段を見ると50ドルとなっていたので、そんなに豪勢なものはこないはずだが…。

 

もうなんだかすべてが面倒になったので、“rely on you,everything OK.”と話した。「みんなあなたに任せるよ、何でもいいよ」のつもりで話したのだが通じたのだろうか?おばはんはとてもとても怪訝そうな表情を浮かべながらメモ帳に何やら書いている。最後に“coffee?”と聞いてきたのでうなずくと、足早に席を離れていった。何が出てくるかわからなかったが、120〜130ドルくらいはあるので、足りなくなることはないであろう。

 

しかしまあ、香港での最後の食事もすんなりいかなかったなー。そう思いながら待っていると、しばらくして若いあんちゃんが、プレートに置かれた食事を運んできた。その上には、シロップがかけられた甘いトーストらしきものと、スクランブルエッグ、ハムを焼いたらしきものが載せられている。これを見た時にようやく謎が解けた。おそらくおばはんは、気を利かせて朝食セットみたいなやつに変えてくれたということなのだ。単品で頼むよりはお得なのだろう。品数はあってもそれぞれの量が少ないのであまり豊かな気分にはなれないが、贅沢は言えまい。「すべて任せた」と言ったのは何を隠そう自分なのだ。

 

しかし50ドルを払ってこれで終わりではないだろうと思っていると、また若いあんちゃんが近づいてきてもう一品をテーブルに置いてくれた。驚くべきことに運ばれてきたのは、「麺」であった。なぜだ。「飯」と書かれたメニューを指さしたはずなのだが…。

 

ライスヌードルであるフォーに、しいたけが3つ浮かんでいる。うん、わかるよ。香港の人はみんな麺が好きだからね。僕も大好きさ。でも最後の食事はライスヌードルでなくてライスを食べたかったんだ。

 

そんなことを独りごちても言葉は受け取り手のないまま空を漂うだけである。
香港で味わう最後の麺を噛み締めながら、三日間で味わったすべての麺を思い返していた。(続く)

 


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