Googleのスローガン、「邪悪になるな」とは何ごとか

Google社の社員に向けた非公式スローガンをご存じだろうか。それは “Don’t be evil.(邪悪になるな)” である。

仕事をする上で「邪悪になるな」とは一体どういうことであろうか。自分は以下のように解釈している。

例えば、ある小売店に入るとワゴンに大量に積まれた製品があったとする。

ボリュームを出してアピールすれば訴求力が上がるので、その製品は他の競合製品よりも売れるだろう。つまりその製品は、小売店にとって今一番売りたいと思っている商品なのだ。

しかしこの、「売りたい」というメッセージには2種類が存在する。

一つは店側が純粋にこの製品を素晴らしいと感じ、より多くの人に使って欲しいと思ってアピールしているケース。

良いと思って大量に仕入れればスケールメリットも生まれるので、競合製品より安価に提供できる可能性もある。結果、ユーザーにとってはいい製品を安く手に入れられることになり、多くのメリットを手にすることができる。

購入したことで良い経験を持つことができれば、小売店に対する信頼は向上しブランディングにも貢献する。まさに好循環である。

もう一つのケースとは、不良在庫をさばきたいがために「これはよい商品ですよ」と見せかけているケース。

何が売れるかは結局のところ蓋を開けてみないとわからない面があるので、不良在庫を抱えることは避けられないことだと思う。

通常であれば特売セールを行なったり、何かの景品に使ったり、最悪廃棄することになるのだろうが、通常の利益率を確保したいがために、あたかも素晴らしい製品のように触れ込んでワゴンに山積みにして販売する。

消費者は訴求に釣られてつい買ってしまうかもしれないが、不良在庫になるくらいだから良い製品である可能性は低い。

ユーザーはその商品を購入したことで「失敗した」と思う可能性は高く、「あの店の目利きは信用できない」と信頼が低下する。それはきっと口コミでも伝わることだろう。

目先のわずかな利益を得ることはできたかもしれないが、将来的にその店のブランド力は低下していく。

「邪悪になる」というのはまさに、2番めのようなケースを指すのだと思う。わかりやすく言えば、自分たちの仕事がユーザーの利益へと向けられているか否か。自分たちの都合でやっていないか否か。

消費者はそういったことにとても敏感だし、個人が発信力を持つ今の時代であれば良い評判も悪い評判もあっという間に広まっていく。

Googleが行っているサービスのほとんどは無料で使用できるものだ。そして検索エンジンであれ、Gmailであれ、Chromeであれ、常にバージョンアップしてその利便性を高めている。

それは広告を出稿するクライアントのためではなく、Googleのサービスを使っているユーザーの利益を高めるためである。そういった姿勢に世界中のユーザーは感心し、好きになり、信頼していく。ユーザーの規模が担保できるから、企業はGoogleへの広告出稿を決めるのだ。

おそらくGoogleが「邪悪」になり、クライアントのおべっかで自分たちの都合のいい検索結果を出すようになれば、信頼が落ちてどんどんユーザーは離脱していくだろう。

Googleが持つ「邪悪になるな」というスローガンは、いい格好をしているでも正義感を振りかざしているでもなく、企業が利益を出し社会的な責任を持つためのとても理にかなったものだと思う。

ということでこのスローガンは、こっそり自分の行動指針にも使わせてもらっている。仕事の方向性を定めるのにすごく役立っている。

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