ブログを書く目的

ブログをほぼ毎日書き始めて5ヵ月と少しが経った。書いている期間は、「人気ブログにするには」というようなネット記事や本をぱらぱらとめくってみたりした。ただそういった内容の文章を読むとどうしても違和感を持ってしまう。

もちろんこのブログはネット上に公開しているものなので、一人でも多くの人に読んでもらわないとお話にならないと思ってやってはいるのだが。しかし、そういった記事や本はあまりにもテクニックにばかり目が向きすぎていて、自分のやっていきたい方針とは合致しないように感じてしまうのだ。

では、自分がやりたいと思っているブログの方針とは何であろうか。ふとそう考えて、ぴたりと思考が止まってしまった。手探り状態で毎日思いついたことをただ書いているだけで、明文化できるような方針などないような気がしてきた。

しかし、まったく方向性を持たずに物事を進めるのは、結構、精神的なコストが高い。割りと早い段階で行き詰まってしまっているはずである。

これまでのところ何とか続けてこれているので何かしらあるはずだと考えてみると、ベンチマークにしているブログが2つあることに思い至った。その2つの類似点を調べてみれば、自分の方向性が明確になりそうである。

そのブログのうち一つは「ICHIROYAのブログ」である。

アンティーク着物を販売している「ICHIROYA」という会社の社長さんが書いているブログで、開設から3年以上毎日アップをされていた。昨日の記事を見たら「毎日更新をやめる」と宣言されていたので驚いたが、自分が毎日書いてみようと思ったきっかけのひとつはこのブログの影響が確かにある。

6/7の記事には、毎日ブログを書いたことで得られたことについても記されている。
「書くことのよい訓練になった」
「自分の考えが整理できた」
「ものの見方が深まった」
これらは、僕もブログを毎日書くようになって感じたことである。

つまりネットに公開する以上、読んでもらいおもしろいと思ってもらうものを目標にするのだけれど、それはあくまでも結果であって、目的のひとつには「書くことによって自分が成長すること」があると思う。

それは精神的な話ばかりでなく、普段行っているライティングの仕事にも良い面でフィードバックされている。単純に生産性の話をすれば、執筆のスピードが2倍〜3倍くらいになった。

タイピングの速度がそれだけ速まったというわけではなくて、休まずに集中力を切らさずに書き続けられる時間が明らかに長くなっているのだ。スポーツと同じで、日々執筆の筋力をつけ続けていると、基礎となる部分が知らずに鍛えられているのだと思う。

もう一つは、清水亮さんの「shi3zの長文日記」だ。この人のブログは本当にすごいといつも思う。ほぼ毎日のように更新されていて、なおかつ内容がとてもおもしろいのだ。

おもしろい文章というのは、書いていることがおもしろい場合と書き方がおもしろい場合の2種類があると思うが、このブログはそのどちらともを兼ね備えていると思う。

特に、下記のエントリーを読んだときはびっくりした。テクノロジーやガジェット、マーケティングに興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

子供の頃、何が欲しかった?  ~iPodのマーケティングとソニーの凋落

こんなに長い文章なのに最後までまったく飽きずに読めてしまう。しかも、タイトルのようにAppleとSONYの戦略の類似性と、なぜSONYがだめになってしまったかということが、独自の観点から論理的にわかりやすくまとめてある。さらにすごいのは、月に数本程度の更新ではなくほぼ毎日のようにアップされていることだ。ブログ中にも執筆速度について言及されているが、相当速いスピードで書くことができるのだと思う。

思い出した。この記事を読んだ時に、自分もおもしろくかつ読んでためになる、多くの人に必要とされるような文章を書こうと強く思ったのだった。

さて、2つのブログを紹介したところで本稿の目的である、ベンチマークにしているブログの共通点とは何かと考えると、「良い記事をたくさん書き、自分自身が成長する」というとてもシンプルなものに気付いた。

タイトルを工夫するとか、SEOだとか、写真や小見出しを使うとかは、優先度から言えばそのずっと後のことである。まずは内容のある本文をしっかりとした文体で書くこと。単純だがそれに尽きる。

生きているうちに良い文章をひとつでも多く残せるように、これからも日々筋力アップにつとめていこう。そしてその過程でどなたかの琴線に触れるような一文がもしあったとすれば、それにまさる喜びはないっす。いや、ほんとに。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。