再び初動負荷の話

ぼちぼちと暑い日が続くようになってきたので、クーラーを掛けて生活するようになってきた。割りと知られている話だと思うが、クーラーというのは点けたり消したりをマメに行うよりも、一日中つけっぱなしにしたほうが電気代は掛からない。不思議な話であるが。

一番エネルギーコストのかかる部分というのは、暑い温度を急激に冷ます時である。一旦部屋が冷えてしまえば、それをキープするのにそれほど多くのエネルギーは必要としない。なので外出するたびに電源をオフにするよりも、クーラーを掛けたままで外に出たほうがコスト安なのである。

以前に初動負荷について書いたけれども、クーラーの事例はまさにそれを説明するにうってつけのものである。そう思うと、初動負荷という考え方は色んなものに当てはまる気がしてきた。

昨日書いた毎日ブログ更新をするためのこともまさに初動負荷が関係する。時間を置いて仕切り直しするよりも、毎日続けるほうが精神的な負担が少なくて済む。後は、クルマの燃費なんかもそうである。同じ距離を走るにしてもストップ・アンド・ゴーを繰り返す場合と、一定のスピードをキープして走る場合とでは、後者のほうが断然エネルギー効率が良い。

ここまで書いてみて思ったのだが、これは人間関係についても当てはまる気がする。学生時代にはいくつものアルバイトを経験したけれど、どこで働くにせよ知っている人がまったくいない最初の3日ぐらいは、とても居心地が悪かったのを覚えている。今でも、知っている人がほとんどいない会合などに参加するのは気が重い。これは心にそれだけの負荷がかかっている証拠である。人間関係においても、初対面から打ち解けるまでの初動にかかる負荷が最も高いのである。

こういうことがわかったからといって、すぐに何とかなるというものではもちろんない。それでも、何かしら気の進まない出来事があったときには、「初動負荷が掛かっているだけだ」と考えるだけでちょっと気持ちが楽になるかもしれない。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。