雑誌の未来(追記あり)

定点観測している「出版状況クロニクル」というブログによると、2015年5月の書籍・雑誌の売り上げは前年比10.7%減と二桁減を記録。返品率は書籍が42.4%、雑誌が47.2%となり、かなり悪い状況になってきている。

返品率が50%近くというのは、裏を返せば50%近くは売れているということである。そう考えるとまだまだ大したものじゃないかという気もしてくるが、販売期間が決まっている雑誌の場合はそうもいっていられない。雑誌というのは陳列される期間が決まっているので、次の号が発行されれば自動的に前号は押し出されて返品となる。

バックナンバー用としてストックされる分ももちろんあるだろうが、雑誌の場合は返品のほとんどが廃棄処分である。週刊なら毎週、月刊なら毎月、作った商品の半分近くが処分されてしまうのだ。書籍の場合は返品されたものを研磨しカバーのみ新しく替えて再出荷するという手があるが、鮮度のある雑誌はそれもできない。今では雑誌のほうが発行するリスクが高いように思える。

同じ「出版状況クロニクル」の中ほどに書籍・雑誌の売上推移が出ているが、1996年の約2.7兆円に比べて2014年は約1.7兆円。十年も経たないうちに業界全体で1兆円(!)もの売り上げが消滅しているのである。この急速な業界のシュリンクは改めて数字として見ると本当に恐ろしいことだ。一体、この10年で業界に携わる会社のどれだけが廃業となったのだろう。さらに不安なのは、売上減と返品率増加のダブルパンチに現状でまったく歯止めが掛かっていないことだ。まだ底にいたっていないのだ。

書籍と雑誌の未来は明るいだろうか?この数字から予測すると、とてもではないが暗いとしかいいようがない。

個人的な考えを言うと、書籍よりも雑誌の未来が心配である。自分自身、書籍は定期的に買っている。電子版を買ってKindleから読むという行為も習慣となった。おそらく月に電子版を含めて5、6冊は買っていると思う。まだ電子よりも紙で本を読むという世間での習慣は根強く、電子版が当たり前になるのにはもう少し時間がかかりそうだが、必ずアーリーマジョリティ・レイトマジョリティへのキャズム越えはするだろう。そうなれば多少書籍は盛り返すかもしれない。

一方、ほとんどがA4以上の判型の大きな雑誌は電子版との相性が悪い。何度か電子版でも買ってみたがタブレットであっても、図版や文字が小さくて読みづらいというのがありリピートしなかった。また雑誌の利点は流し読みをしてセレンディピティを得るということもあると思うのだけど、流し読みというのは紙をペラペラめくるから成立するものだと電子版を買ってみて気づいた。ディスプレイ上のページを繰って流し読みをしようとしても、読みづらくて頭に入ってこず、あとなんというか雰囲気が出ないのである。やはり雑誌は紙のほうが親和性が断然高い。

では自分自身、雑誌をよく買っているかと言えば、書店でたまに立ち読みすることはあっても最後に購入したのがいつなのかどうしても思い出すことができない。いつの間にか、ほとんど買わなくなってしまった。元々雑誌が好きでこういう仕事を選んだということもあり、ほんの7、8年前までは、月に5千円くらいは雑誌代に使っていた。毎号楽しみにしているものがあり、その他にも書店やコンビニに行った際に目についた面白そうな雑誌を手にとっていたという感じだった。

それが今では、最後にいつ買ったか思い出せないくらいに手が遠のいた。雑誌離れをしている世の中全体の動きと自分の行動が同じになっているのである。

どうして買わなくなったかというと、単純に媒体の話をすればやはりスマホの登場が大きい。しかし雑誌が不人気になってしまった原因は、「読むものがスマホに置き換わったから」という媒体の問題ではないと思う。コンテンツそのものに原因があり、市場は雑誌を評価しなくなったというのが正しい見方だと思っている。形式ではなく中身に原因があるのだ。

長くなったので、稿を改めます。

追記

続きはこちらをどうぞ。

雑誌の現状