フジロック最終日(2015年7月26日)その3

オアシスから戻るとすでにグリーンステージでは準ヘッドライナーである RIDE のステージが始まっていた。

自分の場所に戻ろうかと思ったが、左脇の露天でハイネケンを買いながら音楽を聴いているとそのギターの音色が心地よく感じて前の方へふらふら歩いて行った。よく考えてみれば、立ってステージを見るのはこれが初めてのことである。フジロックに来ていながら、なんと面倒くさがりな行動をしていることか…。

RIDE というバンドのことを知らなかったので、聴きながらスマホでチェックしてみる。

フジロック公式の紹介文によると、

「90年1月に…デビュー。…インディー・チャートNo.1に輝き、彼らの轟音ギター・サウンドとドリーミーなヴォーカルは『ドラッグの手を一切借りずに創るエクスタシー』と言われ一躍注目されるバンドとなった。…95年…グループは解散を表明し、この若く、美しく、繊細な表情を持ったロック・バンドは、シーンの歴史の1コマとなってしまった。」

とある。それが解散から約20年ぶりの2014年に再結成して現在に至っているという。メロディアスなギターサウンドを全面に押し出し、途中ではマイブラを思わせる轟音ノイズ大会が始まったりと良い感じだった。

終演後は一回トイレへ行った後に、オオトリであるNOEL GALLAGHER’S HIGH FLYING BIRDS をじっくりと見るべく自分の場所に戻る。

ノエルを見るのは2回目。2009年フジロックの初日のヘッドライナーを務めたオアシス以来である。ノエルの登場を待ちながら同じグリーンステージで見た当時のオアシスを思い出す。その日は一日中雨が降っていて、オアシス登場前には豪雨といってもいいくらいの激しい降り方だった。

1日歩きまわって体力的にかなり限界のところに来ていたが、まあ若かったこともあり(たった6年前ですが)、がんばって人をかき分けて、前の方へとポジション取りをしたのを覚えている。

後ろ手に身体をかしげて歌うリアムの姿や、ギターを奏でながら顔をしかめて歌うノエルの姿を今でもはっきりと覚えている。雨の降りしきる中、身体を揺らながらオアシスの姿を見ていると、「これは本当に現実のことなのだろうか」と何度も自分の感覚を疑った。おそらくあのステージを体験したことが、自分が毎年フジロックへと引き寄せられる理由の一つになっている。

2015年のノエルはすっかり大人の雰囲気を醸し出していてしっかりと地に足をつけた演奏で観衆の耳を満足させていく。途中で「日本のこの場にいる君たちに特別だよ」みたいなことをいって、Champagne supernova を歌い始めた。

「まじか!」「やった!」と周りで歓声があがる。その後もソロの楽曲をはさみつつ Whatever も歌ってくれた。2009年とまったく同じ気持ちで聴くことはもちろんできないけれど、また苗場でオアシスの曲を体験できるのがすごく嬉しい。

最後は Don’t Look Back In Anger をグリーンにいる全員でまさに大合唱。心が離れていく悲しい曲でありながら改めて聴くと本当に良い歌だ。

Don’t Look Back In Anger の和訳は様々にあるけれど、「嫌なことに目を向けないで」とすると自分的にしっくりくる。最後の一言、At least not today「せめて今日だけは…」が歌詞に奥行きを出す。「今日だけは、嫌なことを考えずに…」そう思うとこれほどラストを飾るにふさわしい曲はないような気がしてくる。

歌い終わったノエルがすっと闇に消えると同時に、今年のグリーンステージのタイムテーブルがすべて終わった。Power to the People がスピーカーから流れるとともに、早くも祭りの後の寂しさが胸にくる。移動する人の波の中で、しばらくは腰掛けたままで夜の苗場の空気を味わった。

来年のフジロックへのカウントダウンが、この瞬間からはじまるのである。

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