出川のすごさ

まだ知り合って間もない人とある程度の時間、二人きりになったとき、どういった話題をすることが多いだろうか。とりあえず天気の話はする。仕事の話もする。趣味の話、休日の過ごし方、兄弟の有無などなど。

この辺りまではとんとんと進むであろう。そしてもう少し時間があるようであれば、誕生日はいつか、その誕生日の有名人に誰がいるかなどが話題にあがるかもしれない。

僕は2月20日で、志村けんやアントニオ猪木、長嶋茂雄と同じである。こういった泣く子も黙るビッグネームを出すと、「おーなかなかのメンツですね」とちょっと驚かれ、「そういえば志村けんて…」と話が進むこともある。著名人と同じ誕生日に生まれたことで損をしたという経験はない。それで先日、まだそれほど話をしていない人と、車で移動するというシチュエーションが発生した。

だいたいひと通りのことを話した後で、何の気なしに「誕生日はいつですか」と訪ねてみた。すると先方は「2月13日です」との回答。「僕も2月ですよ。同じですねー」と話した後に、「同じ誕生日の有名人て誰がいます?」と進めてみた。そうしたらとても答えづらいような表情をした後に、「…出川哲朗がいます」と教えてくれた。

出川哲朗!

その名前が出た途端になぜか笑いがこぼれて、車中はより明るい雰囲気へとみるみる変貌した。

僕の頭のなかには画面にはみ出さんばかりに存在感を放つ、あの下ぶくれの独特な輪郭をした出川の顔が浮かんでいた。そしてやはり誰かからいじられ困った表情をしながら何かリアクションをしているのだった。すごい。顔を思い出しただけで心が軽くなる。このブログをたった今読んでいる人の中にも、「出川哲朗」の名前を読んだだけでおもわず笑顔になった人がいるのではないか。名前を聞いたり読んだりするだけで、人が笑顔になるってかなりすごいことである。

こんな人って他にいるだろうか。ウド鈴木やジミー大西、松村邦洋などは出川哲朗と同じ系譜にあると思われるが、顔や名前を思い返したところで笑みはこぼれない。色々なコメディアンの顔を思い浮かべたけれど「出川哲朗」の名前ほど心を和やかにする人はいなかった。

やはり、出川哲朗だ。すごい男だ、出川は。2月13日生まれに嫉妬した、そんな誕生日トークにまつわるエピソード。