ランチ中のタバコ

先日、目についた定食屋でお昼ごはんを食べることにした。12時前だったのでまだ客席はまばらである。そこにサラリーマンの男性が入ってきて、カウンターに腰掛け店員さんへ注文をした。日本中のどこででも見かける光景である。それがその後の彼の行動にものすごく違和感を持つこととなった。上着のポケットからタバコを取り出して火を点けたのである。

ランチタイム時の飲食店の中で、タバコを吸っている人を見るのはどのくらいぶりだろう?その後もサラリーマン風の人が何人か店内に入ってきて、みな一様にタバコを吸い始めた。どうやらこの店は愛煙家にとって文字通り周りから煙たがられない、昼食時でもタバコの吸える店として認知されているようだ。

煙たい空気に難儀しながら食事しつつも、
「そういえば、ほんの20年くらい前はこれが当たり前だったんだよなー」と思った。

30代のはじめまで僕もタバコを吸っていたので、飲食店に入るとまずは灰皿を探し手元へ引き寄せたものである。20代の頃などは、「タバコの吸えない飲食店」というのはスタバくらいしか存在しなかったように記憶する。

どこにいってもボックス席の至るところからモクモクと煙が出ていて、その空気の中で食事をするのが当たり前のことだった。愛煙家が隅に追いやられている今と昔とを比べてどちらがいいといえば、それは今のほうが断然よい。健康的だしご飯も美味しく食べられる。

それでいい悪いは置いておいて、ランチタイム中タバコを吹かす姿を見て思ったのは、「常識というのは時代によって様変わりするなー」ということだった。

食事中にタバコを吸うのが当たり前だったのが、ほんの20年ほどでそれはかなり違和感を持たれる行動となっている。つまり常識とされるものがまったくの逆になってしまったのだ。だからといって、「今、常識とされているものなど守らなくて良い」という結論へ導きたいわけではない。非常識な振る舞いを続けるのは本人も周りもとても精神的に疲れるので、そこは世の常識に合わせておいたほうがいいとは思う。

ただ、常識というのは、白が黒に変わるくらいに時代によって変化してしまうフワフワしたものなんだな、サラリーマンの皆さんが出す煙を見ながらそう思った次第。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。