マクドナルドの思い出

期限切れの鶏肉を使ったり異物混入騒ぎがあったりで業績悪化が止まらないマクドナルドが、不採算店の閉店を相次いで決めている。特に10月と11月の閉店数は多かったようである。石川県はというと、ネット界隈に出ている閉店店舗の一覧などをざっと調べてみると、まだ閉店が決まったところというのはなさそうである。

マクドナルドへは、30代の頃まではたまに行っていたような気もするけれど、いつしかまったく足を運ばないようになっていた。行ったとしても時間調整のために100円でコーヒーを飲むくらいである。いつごろから足が遠のいたかと考えてみたら、昔は500円くらいで買えるハンバーガーとポテトMとドリンクMのセットというのが常時置いてあった。ハンバーガーも4〜5種類くらいから好きなのを選べて、特に考える必要もなく(楽だったので)それをよく買っていたように思う。

それがいつの間にかなくなっていて、サラダなどが加わったわかりにくいメニュー構成となり、プレミアムなハンバーガーなども出だして割高感が出始めた。それらメニュー構成のわかりにくさと割高感によって別の店を選ぶようになったのだった。

もともと調味料で味を調整しているジャンクな食べ物なので、一度食べない習慣ができてしまえば再びそこに戻ることはない。行かなくなってからもカウンターのメニューが外されたり、60秒キャンペーンと称して速くハンバーガーを作ることに勤しんだりと、「それって顧客視点ではなくて、お店の都合ですよね」というあさってな方向の企業努力によりネット上で叩かれ、ますます客離れに拍車がかかっていった。そこに追い打ちを掛けたのが、去年の期限切れ鶏肉の使用という流れだろうか。

それでも高校生の時にマクドナルドを初めて食べた時の感動は今でもよく覚えている。生まれ育った地元には当時マクドナルドは存在していなくて、高校進学で小松市という小松空港がある中規模な街に行くことになった時に、8号線沿いにあるマクドナルドで初めて友達と食べたのだった。

テリヤキバーガーを食べたのであるが、甘辛のソースとレタスについたマヨネーズが絶妙にパティへ絡み、口に入れ頬張った瞬間に新しい味覚の世界を見たような気がした。「こんな美味いものがこの世にあるのか!」そのくらいの衝撃を受けたのを覚えている。ハンバーガーを食べながら、カリッと揚がったポテトを口に入れたときの幸福感。さらにコカ・コーラで口の中を一度さっぱりとさせたときの爽快感。これらは本当に新しい体験であった。

なので今でもたまにテリヤキバーガーを食べたくなるのであるが、だからといって実際に食べる気にはならない。ここで足が止まるのは、食に対する好みが若い頃とはもう変わってしまったのも大きいと思う。期限切れ鶏肉というわかりやすい不安感よりも、単純にヘルシーでないものは口に入れたくないと思うようになった。

マクドナルドのようなファストフードは、やはり10代20代こそが最もターゲットとなる年代だろう。それらの世代にそっぽを向かれた状態にいる現在のマクドナルドに、これから復活するシナリオは用意されているのだろうか。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。