台湾一人旅 2-10 台北101の珊瑚展示場を素通り

台湾旅行記の16回目です。

展望台から人の流れに身を任せつつ階段を降りて行くと、広々としたフロアに到着した。

そこは珊瑚の展示場になっていた。一つひとつの珊瑚には凝った造形がほどこされていて、見るからに高級な感じである。それぞれに値段が付いており、そのまま買い求めることも可能なようだ。

どうやら1階まで降りる下りエレベーターは、この展示場を回らないと到着できない構造になっているようだった。

値段をちょっと見てみたが7桁くらいが当たり前にゴロゴロと置いてあって、とてもではないが「せっかくだから、お土産にちょっと買っていくか」という代物ではない。

通り道には「珊瑚は投資の対象になります」みたいな日本語の説明書きもしてあった。明らかに富裕層を狙った商売であるようだ。どうして展望台の下でこういう展示をしているのかはもちろん定かではない。

台湾に来る観光客は日本人が多い。バブルの頃なんかはわりと日本人の観光客でも買っていく人がいたのかもしれない。

今であれば中国人のお金持ちが一番の対象になっているのだろう。といってもここで足を止めて値段交渉を始めるというリッチな人は、自分が歩いている一団の中には一人もいないようである。

最初は物珍しく見ていた人たちも、あまりにも珊瑚の数が多いためほとんど素通りして歩いて行ってしまっている。

置いてあるのが高級品なだけに店員さんもそこそこの数がいるのだが、誰も自分が声を掛けられるなど思っていないようで、通り過ぎる人々を気の抜けた顔をして見送っている。

ここに1日何人の人が通るのかわからないが、珊瑚を買えるだけの財力があってなおかつ興味を示してくれる人となると、その割合は確実に1%以下になるだろう。ひょっとして、0.01%くらいかもしれない。

今自分が歩いている一団も100人以上いるけれど、立ち止まって店員さんを呼ぼうとする人は一人もいないのである。

ちなみに台北101の来場者数を調べてみると、2013年の年間来場者数が240万人という資料を見つけた。240万人を365日で割ると1日平均は約6500人。その中の0.01%が足を止めてくれれば、1日に65人の人とコンタクトできることとなる。

65人の富裕層と接触できれば、1人くらいは300万ほど買ってくれるかもしれない。であれば、十分に商売としては成り立つのか。

そんな皮算用をしているうちに人の流れは下りエレベーターの列に到着した。乗り込んだ後は上りと同じようにまさに一息とも言える短時間で1階に辿り着く。そのまま1階のフードコートで少し早めの夕食をとることにした。(続く)


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。