台湾一人旅 3-4 紅毛城

台湾旅行記の25回目です。

淡水の商店街の道をグーグルマップのナビに従って奥へ奥へと歩いて行く。道の先はそのまま商店街を抜け出て、車の通りがある幹線道路へと合流していた。

店の数は少なくなったが、その分右手には丘の斜面に生い茂る緑が見える。そして左手には静かな河川の水面。淡水は環境のいい場所だと改めて感じた。

豊富な水がそばにあるだけで街の印象が変わってくるように感じる。水がその土地にあるだけで、ここに住む人の祖先たちは他の地域よりも豊かな生活ができていたかもしれない。

豊かで余裕のある暮らしをしていた祖先のDNAを引き継ぎ、現在の街を作っている人たちもまた穏やかな性質となる。豊富な水を持つ街は、そんな人たちの手によってますます良い印象と
なっていく気がする。

しばらく歩くと、ナビは道路の右手にある上り坂を上がるように示していた。ナビに従って上って行くと、坂の頂上にレンガで作られた塔のような建物が見えた。どうやらここが紅毛城のようである。

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小高い丘へとゆっくり足を進めながら、紅毛城のことをiPhoneのSafariから調べてみる。紅毛城は、台湾に現存する最古の建物とされているようだ。作ったのはスペインで、1628年のことである。

当時は新航路発見に湧き立つヨーロッパの国々が、我先にとアジアへ進出してきた時代である。その中でスペインとオランダが台湾に目をつけ、スペインが北部をオランダが南部をそれぞれ支配するにいたった。

北部の淡水はスペインが現地に住んでいた人々を武力で服従させ、自分たちが居住するための城を建設した。その城が紅毛城の前身となるセント・ドミニカ城である。

その後、紅毛城はスペインからオランダ、鄭氏政権、清、日本、イギリスと列強に翻弄される台湾の運命そのままに所有者が入れ替わり、1980年になってようやく台湾政府へと返還が実現した。一般開放がなされたのは1984年になってからのことだ。

ここまでを駆け足で調べると、すでに城らしき建物が目の前にあった。しかし外壁の修繕工事をしているらしく中に入ることはできないようだった。周囲に足場が建設されており、作業員が修復に勤しんでいる。

そのため観光客は紅毛城から自然に奥へと流れていき、皆どっしりとした作りの洋館へと入っている。紅毛城の隣は旧イギリス領事館となっており、そこは内部まで見学ができるようである。

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紅毛城へ入れないのは残念だが、せっかくここまで歩いてきたので旧領事館の中へ入ってみることにする。

室内はいかにも古い洋館という感じで、使用されていた当時の家具がそのままに置かれている。内部の建築も調度品も経年による劣化が見られる。古い映画に出てくるような緊張感のある雰囲気だった。

窓からは美しく整えられた青々とした芝生が目に入る。芝生にはイミテーションの砲台が数台置かれており、この城が淡水の長い歴史において、戦いの中心地であったことを思わせていた。(続く)

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金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。