台湾一人旅 3-9 最後の目的地・九份へ

台湾旅行記の30回目です。

猫空駅の飲食店で食事を済ませると、時刻は15時半となっていた。

ここから次の目的地である九份まではどのくらい時間が掛かるのだろうと、iPhoneのグーグルマップで所要時間を調べてみる。ゴンドラと電車、バスを乗り継いでおおよそ2時間で到着するようだった。このまま向かえば、夕暮れ時の一番雰囲気のある時間帯に九份の街を散策できそうである。

食べ終わった食事の器を隅にある洗い場らしきところへ持っていき、飲食街を後にした。

ゴンドラのチケット売り場に備えてあった券売機で、帰りのチケットを購入する。料金は行きと同じで50TWD。猫空駅へ来るときに名物である透明な床のゴンドラを体験したので、帰りは早く乗れれば何でも構わなかった。

並んでいる人はみんなそう思っているようで、列は行きの時の3倍くらいの速度で進んでいく。

自分の番が来てゴンドラのプラットフォームにいる係員に「一人です」と人差し指でジェスチャーする。

「寒そうだね」といった感じで自分の身体を両手でさするジェスチャーを見せたので、「ええ、とても寒いです」と返事をした。本当に凍えそうなほどに寒い。

帰りのゴンドラには一人で乗ることになった。片道4キロほどの空中散歩を、隙間風の寒さと高所の恐怖心とに耐えながら下まで進んで行く。元来た始発駅に無事到着して、そこから再び文山線の動物園駅へと向かった。

九份は台北市の東、海沿いの港街である基隆市から程近くの新北市にある。山あいにレトロな雰囲気の商店が立ち並んでいて、台湾映画やメディアのロケ地としてもよく使われる情緒あふれる街である。

ネットで九份の街並みを写した画像を何枚か確認してみる。太陽が沈んだ暗い夜空に、山あいの斜面に沿っていくつもの赤い灯が灯っている。とてもきれいだ。台湾の最後の目的地を飾るに相応しい。

動物園駅から九份へはどのように行けばいいのか再びグーグルマップで検索すると、同じ文山線の忠孝復興駅で下車し、そこから直通バスを乗って行くと出た。

バスに乗るのは自信がなかったので他に方法はないかと調べてみたが、どのサイトを見てもその行き方しか出ていないようだった。

バスに乗りたくないからといって目的地を変更するという選択はもちろんあり得ない。ここは逃げずにバスで行ってみようと決めた。

動物園駅のホームに到着した電車に乗り込み、暖かい車内のシートに腰を沈めて一息つく。忠孝復興駅は動物園駅から9個目の駅となる。所要時間は約15分。それまでの間、台湾のバスの乗り方について、色々なサイトを見ながら予習することにした。(続く)


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。