台湾一人旅 3-14 もう一品いかがですか

台湾旅行記の35回目です。

店内は日本の八百屋や魚屋のような感じで入り口の全面が開かれていて、冷たい外からの風が中へ容赦なく吹き付けてきていた。

できれば奥の暖かそうなところがいいなーと思っていたが、そこはすでに満席のようで一番入口に近い2人掛けのテーブルに座ることとなった。

テーブルに備え付けのメニューをパラパラとめくってみる。やはりほとんどに日本語の表記が付けられている。言葉というのは便利なものだとしみじみ感じながら、注文票のチャーハンへ印をつけ、取りに来てくれたおばちゃんに渡した。

するとおばちゃんは、「これも頼めばいいのに」とスープの写真を指差してきた。「もう一品いかがですか?」的なセールスかなと思いつつ、スープの値段を見てみると50TWD(約175円)と書いてある。まあそのくらいならいいかと、「じゃあそれもちょうだい」とうなずいて答えた。

15坪ほどの店内にはホール係の店員が10人くらいいて、レジの回りにたむろして何やら議論をしていた。半分くらいがおばちゃんで、笑いながら話しているのでそれほど深刻な議題ではなさそうである。

というより、このくらいの広さの店にしてはホールスタッフが多すぎるんじゃないか、ちょうどシフトの入れ替わりなのかな、などとどうでもいいことを考えているうちに、先ほどのおばちゃんがチャーハンとスープを運んできてくれた。

まずはチャーハンを口に運ぶ。日本のものに比べれば多少油が多い気がするが、とても美味しかった。ひょっとしたら日本の味に近づけようと醤油を使っているのかもしれない。

ネギとベーコン、卵だけが具材のごくシンプルなものだったが、久しぶりに米を食べられるというのもあってどんどん箸が進んでいく。

日本の中華料理店などでチャーハンを頼むと中華スープがサービスでついてくるものだが、この店ではそういったサービスはないらしい。

おそらく先ほど注文票を取りに来たおばちゃんは、ご飯だけだと食べづらいだろうと考えてスープを勧めてくれたのだろう。

入口近くのかなり寒い場所で食べているのもあって、魚介でダシを取ったと思われる暖かく美味しいスープの存在がありがたかった。寒さで歯がカタカタ言っている中に暖かいスープを流し込むと、口がほっと一息ついて生き返るようである。

海外に来ると何か余計なものを売りつけられると思って構えてしまうものだが、押し売りと親切心とはきちんと見極められるようになりたいと思った。

チャーハンをたいらげスープを飲み干すと、身体もまだまだ歩けそうな感じで元気になってきた。九份の街の規模がどのくらいのものか定かでないが、まだ中心部は他にあるはずだろう。

多くの人が流れていく方向に何かあるのかと考え、路地の奥地へと歩を進めてみることにした。(続く)


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。