書籍と雑誌の今後

このブログで何度か取り上げている話題に、書籍と雑誌のことがある。

先日、その書籍・雑誌の2015年の売り上げが発表され話題となった。その結果についてはウェブ上にたくさん記事が出ているので読んでいただければと思うが、やはりというか何というか昨年比でどちらも5%前後の減少である。

電子書籍を入れると書籍の方は昨年比から若干盛り返す気配があるようだが、雑誌はそれでも減少の結果となる。

僕はもともと紙の書籍や雑誌が好きで編集・デザインの世界へ入ったのもあり、「いつか盛り返すかもしれない」と淡い期待をしながらその動向を観察していた。やはり紙で作られた書籍や雑誌のデザインが好きだし、なくなってほしくないからである。

それでも最近はそれが贔屓目だと自分でわかってきた。紙媒体の減少はまだまだ底にまで落ちきっていない。適当な予想なので根拠はないのだけど、後10年もしたらほとんどの紙媒体は存在しなくなっているではないだろうか。

ではその減少分だけ世の中の人が活字を読まなくなっているかといえば、そんなことは全然なく、むしろ減少前に比べ読む量は増加していると思う。

その読むためのツールが、紙の書籍・雑誌が選択されずに、スマホを通じたウェブサイトやブログ、電子書籍に取って代わっているのである。

これは構造的な変化なので、一般的にはあまり歓迎されないことだと思う。大きな金額を生み出していた既存の産業が急激に縮小していく様子は、未来に対して不安を伴うことである。

でも見方を変えれば、個人としてはチャンスが大幅に増えることになると思う。なぜなら世の人が選択するようになったウェブサイトやブログ、電子書籍は、個人の力で発信することが可能だからである。

自分が大学生のころ(90年代)、「本を出す」ということは一部の選ばれた人間だけができることだった。

何かしら目立った活躍をして、大手出版社の編集者に運良く見出されないと実現しない浮世離れしたことだったのだ。

「本を出す」だけではなく、「動画を撮って世界中に配信する」ことも、「作った曲を広める」ことも。大きな組織に選ばれた「運と才能のある人」だけがなされることであった。

でも今はその構造が大きく変わった。「本を出す」も「動画を配信する」も「作った曲を広める」ことも、わずかな初期投資によって個人レベルができるようになったのだ。

ひとつ前の記事で書いたが、僕もブログ上で書いていた旅行記をKindleで出版してみようとすごく軽い気持ちで考えた。自分のイメージでは、それは「本を出すんだ!」みたいな大仰なこととは思えなかった。

一つのパッケージになっていれば興味ある人が読みやすいだろう、そんな風に結構、自然な考えでその方針を取ることにしたのだった。

これからも紙の書籍・雑誌は減少の一途をたどると思われるが、その減少した分だけ新しく伸びている何かがある。そしてその「何か」は、適者生存の法則によって現在を生きている人にとっては歓迎すべきものになるはずである。