一日一冊、読めているか?

先週の金曜(3月25日)に「一日一冊本を読む」ということをこのブログで宣言した。一週間あまりが経ったところで、その進捗状況を書いておきたいと思う。

3月25日から昨日(4月1日)までの8日間で読めた本は9冊。ここまでのところは順調に一日一冊はクリアすることができている。

最初のころは「ああは書いたものの、やっぱり厳しいかな…」と思いながら、がんばって本を読んでいた。

この「がんばって」という部分がもうダメで、がんばらないと続けられないものは絶対に長続きしない。

そのことを自分自身よくわかっているので、何とか目標を達成できるくらいにたくさん本を読むことができないかと考えていたところ、とても良い本に出会うことができた。印南敦史さんが書いた、「遅読家のための読書術」である。

書評家である著者は、ウェブ上で一日に2冊分の書評を書く仕事をしている。ということは単純計算で年に最低でも700冊以上は読むこととなる。

この本を読み進めていくとわかるのだが、元々そんなに本を速く読める方ではないらしく、どちらかと言うと遅読の部類に入るそうだ。

しかしそういう仕事が来てしまったので読書の速度を速めようと考えた結果が、この本には凝縮されている。

中でも自分が参考になったのは、ストック型読書からフロー型読書への移行という部分。そもそもなぜ本を読むのに時間が掛かるかというと、書いてあるすべての内容を覚えようと思うからである。

でもよく考えてみれば、熟読したとしても5ページ前に何が書いてあったか、そのことを思い出すのはとても難しいことだ。

どれだけゆっくり読んだとしても、人間の記憶というのは書いてあることすべてを覚えられるような精緻な作りにはなっていないのである。

なので「書いてあることを覚える」というよりも、「書いてあることを身体に通らせる」という感覚で本を読むとかなりスピードがアップする。

そんなので読んだことになるのか、と疑問を持つかもしれないが、そもそもなぜその本を手に取ったかといえば、何か興味があること、知りたいことがあったからである。

なのでその知りたい部分にくると脳のサーチ機能が働き、ページを繰るスピードを緩めてしっかりと活字を追うようになる。

つまり興味のない部分はさーっと流し読みして、必要な部分はしっかり読む。この「正しい流し読み」というやり方を推奨している。

詳しくは実際にこの本を読んでいただければと思うが、さらに印象的だったのは、一冊に一文でも価値のあるところを見つけられればそれで十分という考え方だ。

以下、その部分を引用してみる。

◇◇◇

ご自身の読書体験を振り返ってみてください。(中略)1ページでも「しっかり覚えている部分」はありますか?

覚えているのはせいぜい1文とか2文、あるいは「なにが書かれていたかはあまり思い出せないが『とてもいい本だったという事実』だけは覚えている」というのが現実的なところではないでしょうか?

ここからもわかるとおり、読書の本当の価値は、書かれていることの「100%を写しとる」ことではなく、価値を感じられるような「1%に出会う」ことにあります。

◇◇◇

ここを読んだ時に、自分の中で肩の力が抜けていくのを感じた。まさしくその通りである。本を読むというのは記憶することではない。その中から価値を探すことと同義なのだ。

この本を読んでから、詰まることなくすごく楽しみながら読書を続けられている。「がんばりながら」だと絶対こういう状態にはならなかったので、良いタイミングでいい本に出会えたと思う。

そしていい本に出会うためには、やはり読む本の量を増やすのが最短で確実な方法なのだ。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。