新たな気持ちで

取材と執筆でサポートしていたムック本が発売されていた。「金沢名酒場100」という本である。

飲食店の紹介本と言えば、「女子会」のニーズをとらえた学生やOLなど女性向けのものが多くあるが、この本はターゲットを「おじさん」に設定しているのが大きな特徴である。

さすがに「名酒場」というタイトルでは女子の琴線に触れないだろう。

行きつけの肩肘張らないくつろげる店を探している、中高年の男性へ向けてこの本は構成されている。

ピックアップされているお店も昔ながらの渋目のところが多く、取材しながら「こんないい店があったのか」と驚くことが多かった。

石川県であればコンビニの棚などにも置かれているようなので、目に入ったら手に取ってみてもらえれば幸いです。

今回この本の執筆で嬉しかったのが、奥付に自分の名前が載ったことである。

ライターとして月に何万文字も書いているけれど、印刷物に自分の名前が載るのはすごく久しぶりのことだ。

名前が載って何が嬉しいかといえば、自分の承認欲求が満たされるという部分もあるのだけど、何よりも「この仕事に自分が携わった」という証を社会へ向けて発信できることがじわりとくる。

毎日仕事をして納品し、請求書を書いて入金を確認。そしてまた新たな案件を一生懸命にやる。

この繰り返しを習慣的に行っていると、「自分のやっていることは社会へ影響があるのだろうか」と立ち止まって考える機会がなかなか持てない。

しかし経済的な活動をしている以上、何かしら良い影響を与えているからこそここに存在できているわけである。

そのことを奥付に載った名前一つで実感することができた。

また新たな気持ちで、一つ一つの仕事を大切な気持ちでやっていこうと思う。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。