もしあの頃に戻れるなら

2016-05-06 7:49

「僕だけがいない街」の8巻が発売されていたので、すぐにKindle版をダウンロードして読んだ。

 

 

8巻は完結編である。ここまで本当に完璧と言っていい見事なストーリーテリングで進めてきた作品である。

 

最終巻となればこれまでの幕の引き方をどのようにするのだろうと、楽しみながらページをめくり、一息に読み終わった。

 

色々と批判的なことを書こうと思えば書けるが、読むことで何度も素晴らしい体験をさせてもらえたのだから、それはしない。

 

結末はきちんとしかるべき地点に着地したというのが一番の感想である。

 

この漫画は本当におもしろくて色んな人に勧めているのだが、みんな口を揃えて「おもしろい」と言う。未読の人はぜひ読んでみてほしい。時間とお金を使う価値は十分にある。

 

この漫画の肝は、主人公がタイムスリップして自分を取り巻く環境がより良くなるよう何度も努力する部分にある。ビル・マーレー主演のコメディ映画「恋はデジャ・ブ」のハード版と言ってもよい。

 

こういう話を読むと自分がもし過去に戻れるとしたら、どの地点がいいだろうかとなどと考えてみる。

 

そしてその結果、どの地点からやり直したとしても、結局は今の場所に来るだろうと予測がつく。それはもう、旅立った渡り鳥が翌年きちんと戻ってくるのと同じように、明確に予測ができる。

 

例えば高校生の時の僕は、文章を書く仕事がしたいと思っていた。誰に見せるでもない、しょうもない文章ばかりをたくさん書いていた。

 

その時の自分に戻り人生をやり直してみたところで、結局は今のような日常的にライティングを行う仕事をすることになるだろう。

 

例えば25歳の時の僕は、中古の一眼レフカメラを手に、白黒のフィルムを買ってしょうもない写真をたくさん撮っていた。

 

プロになりたいという考えはまったくなかったけど、自分の撮った写真をたくさんの人に見てもらいたいなとは思っていた。

 

その時の自分に戻ってもう一度そこから人生をやり直したところで、今のように仕事でもプライベートでも日常的に写真を撮って暮らすことになるだろう。

 

この歳(43歳)になってよく思う。

 

外からの刺激によってその時々でやりたいことというのは変わっていく。しかし、胸の一番奥にある「本当に大切なやりたいこと」はいつまでもその場所に動かずにいる。

 

長い人生の中で自分たちにできることというのは2つある。一つはその大切なことを見つけてあげること。そしてもう一つは、それを昨日より少しでもうまくできるよう、繰り返し行うということである。

 

今日もまた、太陽がのぼりお腹が空き、眠くなって眠るのと同じように、自分にとって大切なことを繰り返し、何度もやっていこう。

 


Category:映画・音楽・本

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