タイ旅行記 1-15 トゥクトゥク上でセールスが始まった

タイ旅行記の15回目です。

さて、時刻はいつのまにやら午後1時を過ぎている。この後にどうしようかといくつかの選択肢を考えてみた。

一つは徒歩圏内で行ける観光地をもう少し巡ってみる。もう一つは、どこかのカフェに入って一休みする。もう一つは…、と考えている途中にトゥクトゥクが目に留まった。

まあせっかくタイに来ているのだから、一度くらいはトゥクトゥクに乗ってみようか。そんな考えがふと浮かんだ。

トゥクトゥクとは三輪自動車のタクシーのことである。運転席が前に一つあり、その後ろに二人がけの椅子を並べたのがオーソドックスな形式。

南国の乗り物らしく幌が天井に掛けられているだけで、側面には窓がない。走ると外気の風をもろに受けるため、気持ちよさそうである。

iPhoneのSafariでタイのトゥクトゥクのことを調べてみると、まあやはりというかなんというか、外国人観光客に対しては料金をふっかけてくるとどのサイトでも書かれていた。それを交渉してなるべく正規の値段にまで落とす必要があるとのこと。

しかし自分の場合はただ乗ってみたいだけで、特にそれに乗ってどこかに行きたいというわけではなかった。どうしようかなと思ってみたが、取りあえず100バーツ(約300円)払って、これで市内観光をしてくれと頼んでみることにした。

肝心のトゥクトゥクを探そうかと思うまでもなく、歩道沿いには客引きに熱心なトゥクトゥクが5、6台停まっていた。どれを選んでも同じだろうと思ったが、なるべく若いお兄ちゃんを選んで乗ることにする。

1台に検討をつけて「乗ってもいいか?」と聞いてみる。もちろんウェルカムである。

「100バーツ出すから、市内観光をしてほしい」みたいに告げると、一瞬、ポカンとした顔をした後に、「おお、そりゃいいや。もちろんOKだよ!」と陽気に返事をしてくれた。

早速、後部座席に乗り込む。すぐにトゥクトゥクは発進し、バンコクの町中を走り始めた。

吹き込んでくる風がものすごく気持ちいい…とは、残念ながらいかなかった。熱い空気が熱風となってトゥクトゥクの中を駆け巡る。南国の暑さは半端じゃないと改めて思った。これは一日中、外で働くトゥクトゥクの運転手さんは大変である。

そんなことを思っていると、運転しているお兄ちゃんは急に道路の途中で停車した。道路中央には大きな塔があり、そのすぐそばに停まったのである。はて、この建物を見ろということだろうか?

怪訝な顔でいるとお兄ちゃんが振り返って「あんた日本人だろう?」と話し掛けてきた。

状況が飲み込めなくて戸惑っていると、「実はな、とっておきの観光プランがあるんだ」。そう言ってラミネート加工されたパンフレットを見せてきた。

「これはいいぞー。バンコクの色んなところに行けるんだ。ほらここだろ、そんでここだろ、ここにもいける。気になってきたか?で、料金はだな、ヨーロッパ人や中国人には3000バーツって言ってるんだ。でもな、あんた日本人だろう?日本人には特別サービスで、2000バーツでいいよ。どうだい?」

つまりこのアンちゃんは僕が日本人と見るや、さらに高額な観光プランを売ろうとセールスしてきているのである。それにしても2000バーツとはバカにしている。日本円でも6000円である。