タイ旅行記 1-16 ようやく市内周遊開始

タイ旅行記の16回目です。

トゥクトゥクのお兄ちゃんはいつのまにやらセールスマンに早変わりである。目をキラキラさせてパンフレットを見せてくる。

どうやら市内周遊で100バーツ出す日本人なら、誘い方次第でいくらでも払うと思ったのだろう。さすがに僕もバカではないので、そう簡単に財布の紐はゆるめない。

「いや、いらない。ただ市内をぐるっと回ってくれればいい。こんなに高いプランは払えない」

ということを一生懸命に英語で伝える。もし本当にコスパが高く魅力のあるプランであっても、僕は行かない。頼んでもいないのに道の途中で車を停めて、まくし立てるようなセールスには絶対に乗らない。

しかしそうは言ってもトゥクトゥクのお兄ちゃんもなかなか食い下がらない。「あんた日本人だろう?金持ちじゃないか。観光したいんだろう?わかった1000バーツに負けとくよ。どうだい?」とあの手この手でセールスを継続する。

言われれば言われるほど、そんなプランを買ってなるものかと拒否の姿勢が強くなる。しかしまあ、何と疲れることか。ただ市内をトゥクトゥクに乗って見て回りたいと思っただけなのに、なんでこんなに汗をかいて拒否しなくてはならないのか。

永遠とも思えるセールスの時間(5分ぐらいのものである)だったが、さすがのお兄ちゃんも「こりゃだめだ」と諦めたらしく、「わかったよ。市内観光だね。OK」とトゥクトゥクを再発進させた。

ようやく諦めてくれたかと安堵したが、すでにテンションはだだ下がりである。

これが日本人がアジアで旅行するということなのだ。日本にいては当然の事ながら自分が日本人ということをほとんど意識しないが、海外へ出れば否応なくそれを自覚することになる。そしてアジアの人にしてみれば、日本人は金持ちで優柔不断でお人好しの人たちに見えるのだろう。

そんなこんなでしばらくトゥクトゥクに乗っていると、「あそこは見たかい?」とお兄ちゃんが聞いてきた。ワット・アルンを指差している。もちろん見た。「見たよ!」と答える。

しばらく行くと今度はワット・ポーの前に来た。「ここは見たかい?」とまた聞いてくる。「見たよ!」と答える。ついさっき見た。またトゥクトゥクは再発進する。

そしてしばらくすると今度はワット・プラケオを指差して、「ここはどうだい?」と聞いてきた。「見たよ!」主だったところは見ているのだ。

お兄ちゃんは苦笑いして何かを話し、またトゥクトゥクを発信させた。そんな顔をされても困る。すでに午前中にこの辺の主要なところは見てしまったのだ。

その後、しばらく乗っていると今度は仲間のトゥクトゥク乗りたちがいるところにトゥクトゥクを停めた。たむろしている運転手の1人が近づいてきて、お兄ちゃんとタイ語で言葉を交わしはじめた。