タイ旅行記 2-3 初めてバスに乗る

タイ旅行記の24回目です。

ほどなくして大きな歩道橋があった。そこを上り、向こう岸の道路まで歩いていく。マップを見ると、ホテルからすでに500メートルくらいは歩いてきている。すでに疲れてきてしまっていた。

さらに歩くと大きな交差点のすぐ角のところにバスの停留所があった。色々な種類のバスが来るらしく、たくさんの人がそこで待っていた。「ここでならお目当ての171番のバスが来るかもしれない」そう思って、タイ人のビジネスマンやOLに混じってバスを待つことにした。

念のためマップを確認しておこうとスマホを起動させると、乗るべきバスは171から別の番号に変わっていた(番号名は忘れた)。

「あれ、何でだろう?」と思う間もなく、その新しい番号のバスがすぐ目の前にまで来ている。中型のマイクロバスで、見るからにボロい作りである。でも渡りに船と大慌てで手を上げバスを停め、中へと乗り込んだ。

タイに来て初のバス乗車である。クーラーは効いておらずすべての窓が全開である。床は木板で、手すりの金属のところどころは錆びていた。一体、何年このバスを使っているのだろう?軽く30年くらいは運行していそうなシロモノである。

夕方の帰宅時間に重なりざっと見たところバスは満席である。しょうがないから立っていようかと思っていたら、小柄なタイ人のおじさんが近づいてきて「前へ行け」と指差してきた。運転手の隣の助手席のような位置が一つ空いていたのだ。

そんなバスガイドのような場所に座るのは気が引けたが、バスがものすごいスピードで走り出したのを見て「こりゃ座らないと危ないな」とすぐに察知した。小柄なおじさんの言う通りに一番前の席へと座る。

席の周りは得体のしれない人形やスナック菓子の殻など、「ここはあなたの家ですか?」と思うほど生活感に満ちていた。

しばらくすると先ほどの小柄なおじさんが近づいてきて、貯金箱のような小さな箱を開けて手を出してきた。箱のなかには硬貨がジャラジャラと入っている。どうやらこの人が料金を徴収する係らしい。

いくら払えばいいかわからないのでポケットの小銭を出しておじさんへ見せると、そこから何枚かの硬貨を取ってバスチケットのようなものを渡してくれた。これで料金については一件落着である。

その後、バスは猛スピードで国道をひた走る。そんなにアクセルを踏まなくてもいいじゃないかと思ったが、どうもそれがアジアにおけるバス運転手の性分らしい。台湾のバスに乗った時もそうだったではないか。

そんなこんなでアクセルベタ踏みのバスに乗ること30分、目の前が急に開けてライトアップされた白い建物が現れてきた(この建物が何であるかは不明)。

運転手は僕の方を見て、「ほらあれが◯◯だぞ!よく見てご覧!すごいだろう!」みたいなことを陽気に喋っている。僕が異国からの観光客ということは、どうやらバレバレのようである。

マップで現在地を確認すると、この近辺からカオサンロードまで歩いていけそうだった。「この辺で降りたい」みたいなことをジェスチャーで運転手へアピールした。運転手さんはうなずいて、次の停留所で停まってくれた。

バスの移動で掛かった費用はおそらく7バーツ(約20円)ほど。現地の人の温かさに触れることもでき、一歩だけタイのおもしろさに踏み入れられた気がした。