タイ旅行記 3-2 ムエタイ観戦へ

タイ旅行記の30回目です。

ホテルへ戻ってからは、黙々と仕事をした。ジュースやコーヒーを飲みながら作業を進め、昼過ぎ頃にまたショッピングモールへ足を運んで昼食をとり、ホテルの部屋で仕事を続けた。

その日のうちに完了させる必要があるものを優先的に仕上げていき、残りひとつになったところで時刻は17時ごろとなっていた。

最後は外部パートナーのデザイナーがメインで行なっている作業なので、自分はPCから手を離すことができる。スマホの連絡のみで完了することが可能である。

そこで最終日の夜ということもあり、外に出ようと考えた。

タイに来てもやりたいことは特にないと書いていたが、一つだけ行ってみたい場所があった。ムエタイを生で見てみたいと思っていたのだ。

ムエタイとはボクシングや空手のような立ち技格闘技の一つである。パンチやキックだけでなく、肘や膝を使っての積極的なアタックがこの格闘技の特徴の一つ。

タイ人にとっては非常に親しみ深いスポーツであり、幼い頃からムエタイ道場へ通う子どもも多いらしい。日本にしてみれば、柔道や剣道を習うのと同じような感覚なのだろうか。

これまでにムエタイだけでなく、格闘技というものを生で観たことがなかった。日本にいればいくらでも行く機会はあるはずだが、なぜかしら腰を上げて観に行こうという気にはなれないでいる。

しかしタイに来たとなれば、本場のムエタイをぜひ観てみたいと思っていた。おそらく日本へ観光に来た外国人が、相撲を観てみたいと思うのと似た感じかと思う。

ともかくデザイナーに「外へ出てムエタイを観てきます」と告げて、早速ホテルを出発することにした。

タイにはムエタイのスタジアムが2つあり、それらは開催日が重ならないよう隔日にて試合を行なっているようだ。この日は水曜日なので必然的に試合をやっている会場は、ホテルから西へ10キロほどのところにあるラーチャダムヌン・スタジアムということになる。

例によってグーグルマップを起動してスタジアムまでのルートを調べてみる。いつ来るかわからないバスに乗るよりも電車を選択しようと画面を見てみたら、電車から船へ乗り継ぐ道順が表示された。

船のルートがマップ上ではものすごく幅の狭い川を通るようでちょっと不安になったが、グーグルマップに乗るくらいなら公共交通機関なのだろう。ということで電車と船のルートを選択し、まずは地下鉄の駅であるPhra Ram9駅まで行った。

電車にのる前に財布の中の残金が少なくなってきていたので、駅のATMに寄ることにした。事前に観戦の料金を調べてみたところ、リングサイドは2000バーツで観られるということだった。あいにくそこまでの現金は残っていない。

しかし、2000バーツというと日本円で約6000円である。日本であっても高額なチケット代と言えるし「いわんやタイをや」といった感じだ。まあ、せっかくなら間近で体感できるリングサイドを選択しようと、それと同じ料金を新たにキャッシングすることにした。

そこから電車でひと駅のPhetchaburi駅で降り、階段を上って地上へと出た。

学校帰りらしい学生たちが、地下鉄出口の前の歩道を横切って行く。そのうちの1人がカバンから折りたたみ傘を広げだした。見上げると、曇った空からポツポツと雨粒が落ちてきていた。