タイ旅行記 3-9 タイ人の後を、暗闇を歩く

2016-08-04 8:17

タイ旅行記の35回目です。

タイ人男性の後ろを早足で歩くこと約5分。大通り沿いのバス停に着いた。どこへ行くのか尋ねる間もなくバスが到着。「さあ乗ろう」と言われるがまま、僕もバスに乗った。

車掌が近づいてきてチケット代を要求してきた。タイ人男性は「俺が払うよ」といった感じで払おうとする僕を手で制して、バス料金を払ってくれた。

何だか申し訳ないような、かといってどこに向かっているのかわからないという不安の入り混じった気持ちになる。

バスに乗りながら、改めてタイ人男性が「ホテルはどこに泊まっているの?」と尋ねてきた。スマホでグーグルマップを起動し、泊まっているホテルの場所を示してみせた。

タイ人男性はその場所を見ながら、「なるほど、この辺りか」みたいな感じのことをつぶやいて、僕にスマホを返してくれた。果たして、僕は無事に帰れるのだろうか。

しばらくしてタイ人男性は、「よし、この停留所で降りよう」と僕にうながした。後に続いてバスを降り、またもやしばらく歩き始めた。

時刻は22時半くらいになっている。辺りは繁華街から外れているエリアで、公園のそばを歩いているようである。街灯がわずかにあるだけで、暗く蒸し暑い道をタイ人男性の背中を見ながら歩いた。

果たして、僕は帰れるのだろうか。というか、僕はどこに連れて行かれるのか?

そんなことを考えつつ歩いたが、この辺りで不安に思うのはやめることにした。タイ人男性のことが信用できないなら、この場で逆方向を向いて逃げればいいではないか。しかし僕はそれをしていない。なぜか?少し話しただけだが、僕は彼のことを信用しているのだ。

そうなのである。1メートル前を歩いている僕より15センチほど背の低い、小柄なタイ人のことを僕はすでに信用していたのだ。

今、自分が取っている行動は、海外旅行においてはとても危険なことだと思う。だから普段の用心深い自分であれば、こうして後をついていくことはしないだろう。でも繰り返しになるが、前を歩くタイ人男性が危害を加える人間とは思えなかったのだ。

公園沿いの道を周回するようにぐるっと迂回して歩いて行くと、暗闇の中にバス停が一つ見えた。そこには何人もの人がバスを待っているようだった。

いくつかの路線のバスが最終を迎えてしまい、残るわずかな本数に乗客が集中し始めているのだ。

バス停に着くと男性は、「ここのバスはまだ走っているから大丈夫だ」というようなことを言った。そうは言っても僕は地元民ではないので、このバス停からホテルへはどのようにして帰ればいいのかわからない。

「僕が泊まっているホテルまでは、どういうルートで帰れますか?」と尋ねてみた。するとタイ人男性は少し考えてから泊まっているホテル名を僕のスマホで確認し、自分が持っている携帯電話で電話をし始めた。


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