タイ旅行記 3-10 再びバスへ

タイ旅行記の36回目です。

ホテルの担当者が電話に出たらしい。タイ人男性はそのまま、タイ語で何やら話をしている。僕の顔を時折、見ながら話しているので、ホテルへのルートについて聞いているのかと思った。

途中で電話を中断し、「大丈夫。きちんと帰れるよ」というようなことを言って、僕に携帯電話を渡そうとした。しかしタイ語はもちろん英語もままならない感じなので、電話をいきなり渡されても何を話せばいいかわからない。

手を振って「いや、いいです」と言うと、受話器の向こう側にいるホテルの人と少し会話した後にタイ人男性は電話を切った。

そのタイミングで停留所にちょうどバスが到着した。「さあ乗ろう」と彼は先にバスへ乗り込んだ。ここで一人残るわけにもいかないので、僕もその後に続いた。

すぐに車掌が近づいてきて、チケット代を要求してきた。先ほど払ってもらったので、お返しとばかりに今度は僕が払うことにした。よく覚えていないが、二人で20バーツほどだったと思う。

車掌は僕とタイ人男性の組み合わせを怪訝そうな顔で見て、手でちぎったバスチケットを渡してくれた。

バスに乗ったはいいが、自分がどこに行くのやらわからないという頼りない状況である。ともかく現在地を確認しておこうと、バスが発進してからスマホのグーグルマップを起動し現在地を確認した。

どうやら昨日行ってみたカオサンロード近くにいるらしい。Sanam Luangという広い公園沿いにバス停はあったようだ。

試しにそこからホテルまでの道順を出してみると、昨日と同じでバスに乗ってからメトロで帰る方法が出てきた。このバスがどこに向かっているか定かでないが、地下鉄の駅近くまで来たらそこで降りようかと思った。

そのことをタイ人男性に告げてみると、「地下鉄の駅まで歩くだって?そんなことしたらホテルに着くのは明日の朝になっちゃうよ」とタイ流のジョークを交えて話してきた。

そうかな、この地図を見るとそんなにすごく遠いという感じには見えないんだけど。

「タクシーやトゥクトゥクに乗るのは嫌なんだよ。観光客にはすごく高い料金をふっかけてくるから。だから地下鉄で帰ることにするよ」そう話すと、「なるほどそれはよくわかるよ」とうなずいた後に、「でも大丈夫だ。僕がきちんと交渉して安く乗れるようにしてあげるよ」と言ってくれた。

つまりタイ人男性は先ほどのホテルへの電話で住所を聞き取り、僕をタクシーで帰らせてくれるつもりなのだ。

おそらく地元の人がメーターを上げるよう指示すれば、正規の料金で帰ることが可能だろう。しかし、やはりタクシーよりもバスや地下鉄の方が安心に思える。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。