2016年フジロック 初日「夕刻と八代亜紀」

一夜明けて、フジロック初日がスタートした。

天気は快晴。テントから出て、まずは恒例の雪ささの湯へ行く。

坂を上るのがしんどくて、途中の道の浴室のみを貸し出しているペンションなどへ入りたい気持ちに駆られるが、やはり広い浴場と露天風呂が恋しくなりがんばって上の方まで歩いていった。

初日の朝だけあり、道路には様々な地域のナンバーの車が行き交っている。路駐して荷物を出している家族連れも多数いた。

今年は人の数自体が多そうで、また子どもの姿もたくさん見かけた。20周年経って音楽を楽しむ世代が次へと移ってきているのを感じる。

雪ささの湯でのんびりした後、一旦、テントに戻り荷物を整え会場へ向かうことにした。入口には「20th FUJI ROCK FESTIVAL」の文字。その前で写真を撮っている人がたくさんいる。

会場へ入るゲートには新しく自動改札機のようなマシンが導入されていた。

リストバンドにICチップが入れてあり、それをSuicaみたいに所定の位置へかざすと機械が認識する。画面に「◯」が表示されればOKとなり、スタッフが中へ招き入れるという仕組みだ。

通過の処理を速くするために入れたというよりも、おそらくズルできなくするために導入したと思われる。

この機械を見て初めて、偽物のリストバンドで会場入りされていたという事実を知った感じである。偽物のリストバンドでフジロックを楽しむというのは、何だかせこいし悲しいなあと思ってしまう。

中へ入るとスタッフの人がすぐにジャバラ式のタイムテーブルを渡してくれた。早速、首に下げる。やはりこれを貰わないとフジロック感が出てこない。

グリーンステージまで歩いて行き、いつもの定位置であるステージ向かって左側の木の近くへと陣取ることにした。

木の真下は人気エリアなので、すでに隙間がないくらいに折りたたみ椅子が立てられている。一度ぐらいは木かげの特等席へ座りたいと思うが、まあ競争率が高くなかなか難しい。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

グリーンステージのオープニングアクトは、ノイズ系のBOREDOMSというバンドだった。

毎年、トータス松本や仲井戸”CHABO”麗市のROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRAで始まるのが定例だが意外である。

タイムテーブルを見てみると、同じグリーンステージで16:40からの登場となっていた。八代亜紀が名を連ねているので、朝方ではなく夕刻にして欲しいという要望が出たのだろうか。何となく八代亜紀は朝一にはそぐわない気がするのだ。

ともかくそのままBOREDOMSから次のスコットランドのバンドであるBIFFY CLYRO、イギリスのJAKE BUGGと続けて観ていく。

この辺りは特に観たいアーティストというわけでもなく、単純に晴れた空のグリーンステージでビール片手に音楽をただ楽しんだ。

アルコールが強くないので普段は基本的に飲まないのだが、フジロックは別である。ついついハイネケンを買ってしまう。夕方までに二杯を飲んでいた。

一度もグリーンから動かずにバンドが入れ替わるタイミングで食事をした。4組目には先ほど書いたROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. 八代亜紀、仲井戸”CHABO”麗市、奥田民生、トータス松本) が登場した。

まあこれといって書くことはないのだけど、八代亜紀の姿勢の良さに驚いた。背筋を文字通りピンと伸ばし、まだまだ健在とばかりに迫力ある歌声を披露する。

一体この方は何歳なのだろう、とウィキペディアで調べてみたら1950年生まれと出ている。65歳である。

まあ遠目に見ているというのもあるけれど、やはりステージに立つ人はいつまでも若いなあと思う。小さいころドリフの全員集合で見た八代亜紀そのままである。

日が沈みゆくグリーンステージに幾年月を重ねたしゃがれ声が溶け込んでいた。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。