iPhone7を三日間使った感想 その2

iPhone7レビューの続き。外見の他の大きな変更は、イヤホンジャックの廃止とスピーカーがステレオになった点がある。

先にスピーカーについて触れると、6Sではイヤホンジャック設置箇所になっていた左底面と通話で使用している上部のスピーカーからも新たにオーディオ音声を聞けることとなった。しかも上下で左右のチャンネルに分かれるステレオ再生を実現している。

もちろん上下性能が均一のスピーカーではなく、下部の方がしっかりとした音を出しているように感じる。それでもこの変更は個人的に歓迎である。iPhoneのローカルストレージには自分が撮った動画をたっぷり入れていてたまに見返すことがある。これまでは下部からしか音が聞こえなかったので、動画を見ながら違和感があったのだ。それがこの変更によって、かなり自然に動画の音声を楽しめることとなった。

後は、上下ともに同じ場所、同じ大きさのスピーカーにしてくれれば完璧なのだけど。数世代待てばこれは実現してきそうに思える。

もう一つの大きな変更であるイヤホンジャック廃止について。さすがに歴史ある仕様となっているため反発の意見が多数あるようだ。従来の3.5mmオーディオジャックを使うには、付属されているアダプタを使用しなくてはならない。一度、それをつけて外に出かけてみたが、やはりアダプタの分だけかさばって邪魔に感じた。これだけを見ればあまり良くない変更かと思う。

しかしこの廃止とともにAppleは、Bluetoothで接続されるコードレスなイヤホンを発表している。AirPodsがそれである。そのあまりスタイリッシュとは言えない形状から、「うどんが耳からはみ出してるみたい」と揶揄されているけど、この製品についてはかなり期待している。発売は10月下旬となっており、すぐに購入する予定だ。

つまりAppleはイヤホンジャックを廃止することで、「コードレスでまったく邪魔にならないイヤホンを常に耳につけて生活する」ことを「新しいスタイル」として提案したいのだと思う。

コードレスイヤホンを常に装着していればどうなるか。耳へ入ってくる音はすべて、自分が好むものへとカスタマイズできる。音楽はもちろんのこと、映画やミュージックビデオ、YouTubeなど端末から流れる音はすべてクリアに聞き取れる。iPhoneと連携させれば、必要な通知はAirPodsからシームレスに受け取れる。通話もそのままできるし、Siriを使えば買い物やメッセなどもできるようになりそうだ。

Appleはこうして、ウェアラブルデバイスを一つ一つリリースしユーザーの身体を占拠していくつもりなのだと思う。AppleWatchリリースによりユーザーの腕を占拠した後は、AirPodsによって耳を奪う算段なのだ。おそらくAirPodsの世代が進めば、iPhoneを母艦としてAppleWatch、AirPodsの両方で身体の記録をより正確に取れるようになるだろう。さらに腕と耳を占拠した後は、Google Glassのようなメガネ型のウェアラブルデバイスを発表するかもしれない。

占拠・占領という言葉を使うと何やら身の危険を感じてしまうけど、もちろんユーザーには選択の自由がある。それらが定着するかしないかは市場の評価に委ねられる。それでもAppleがとっている戦略というのは、今回のイヤホンジャック廃止とAirPodsの発表によりある程度、掴める。

他社のウェアラブルデバイスでユーザーの身体が埋まってしまわないうちに、身体のすべてのパーツ向け商品を随時リリースしていく。これまではユーザーの時間の奪い合いだった。それに加え、身体のスペースの奪い合いにもなっていくのだ。そしてこの競争は、その未来を享受できる我々にとってはもちろん歓迎すべきものであると思う。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。