全部入り日本製スマホの名機「IS03」のことを語ろう

一番最初に買ったスマートフォンは、auが発表したIS03という機種だった。

買ったのは2010年10月のこと。考えてみればこの端末の発売から、まだわずか6年しか経っていない。

全部入りと液晶の美しさが特徴

IS03はワンセグや赤外線通信、おサイフケータイなどガラパゴスケータイの機能を引き継いでおり、防水機能を除けば「ほぼ全部入り」といういかにも家電メーカーのシャープが作りそうなスマホだった。

当初、搭載されていたOSはAndroid 2.1.1。現在はAndroid 7.0が流通しているので、こちらも時の流れを感じさせる。

この機種は今、思い返してみてもよい製品だったと思う。まず液晶画面がものすごくキレイだった。テレビ番組を録画して、隙間時間なんかによく見ていた記憶がある。

パソコンにつなげMP3の音楽データを入れて聴いたりもしていた。音質も全然悪くなかった。

さすがに純正のオーディオプレーヤーは使わなかったように思うが、Androidはアプリの門戸を自由に開いていて玉石混交ながら探せばよいオーディオアプリも見つけることができていた。

翌2011年4月にはAndroid2.2へアップデートを果たし、多少使い勝手もよくなった。

バッテリーの持ちは良くなかったけれど、屋内もしくは車の中で絶えず充電ができる環境で使っていたのでそれほど不満には感じなかった。この頃にリリースされたスマホにしては、名機と言ってもいいのではないかと思う。

致命的欠点は、タッチ精度の悪さ

と言いつつも2011年10月、iPhone4sがauからも発売されることが決まると、あっさりIS03とはお別れすることにした。

良い機種だったと褒めておきながらiPhoneへ乗り換えたのはなぜか。それはひとえにタッチパネルの精度にあった。ともかくIS03というのはタッチのレスポンスが悪かったのだ。

iPhoneは初号機の頃から指に吸い付くように画面操作ができたと思う。

ジョブズという人はやはりスマートフォンの肝となる部分をよく分かっていた。一日に何度もやるタッチというアクションがストレスなくできるというのは、スマホという製品の評価に大きく関わってくる。

かたやIS03といえば、必ず指の動きにワンテンポ遅れる。何をやるにもこちらのアクションに対してテンポが遅れるとどうしても使っていてストレスがたまってくる。

スマホのようにしょっちゅう起動させるものであれば、操作のストレスは致命的である。

欠点はあれど、思い入れのある機種だった

そんな経緯でiPhone4sへと乗り換えたわけだが、そのタッチの滑らかさに感動したのは言うまでもない。同じコンセプトの製品でもこれほど使用したときの体験が違うものかと驚いた。

それでもごくたまに、未だにIS03を使っている人を見かけると、嬉しい気持ちになってしまう。

タッチ精度が悪いというだけで、6年経った今でも現役で使えるほど完成度が高い製品だった。2016年にIS03の姿を見ると、そのことを思い出深く考えるのである。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。