4DXの映画を初めて体験

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成り行きで映画の4DXを体験しました。感想を少し書いてみたいと思います。事前に予告します。僕はちょっとネガティブな感想を持ちました。

まず、4DXは何かを簡単に説明します。3Dは専用のメガネを掛けると、スクリーンが飛び出して見えるという演出です。4DXは「3Dの先を行く」という触れ込みの体感型上映システムです。専用設備の映画館であれば、通常料金に1,000円プラスして観ることができます。

演出は様々で、シート自体がシーンに合わせ揺れたり、前席の背もたれから水が飛び出したり、館内の壁面ライトが光ったりします。テーマパークへ行くと、映像に連動して座席の動くアトラクションがありますね。それを映画で実現したと言えば、わかりやすいかと思います。

実はこの4DXという存在をきちんと知りませんでした。聞いたことはあったのですが、それほど関心を持っていなかったというか…。昨日、午後に時間ができたので、ちょっと映画を観に行こうと金沢市にあるコロナワールドへ行ったんです。時刻は15時30分くらい。上映間近な作品の一つに、トム・クルーズが主演する「ジャック・リーチャー NEVER GO BACK」がありました。これはもう、映画のポスターを観るだけでどんな内容かわかります。ミッション・インポッシブルのように、トム・クルーズが肉体を駆使して立ち回るアクション映画でしょう。特に考えることなく「これにするか」と選び、チケット売り場へ行きました。

するとスタッフの人が、「4DXで1,000円プラスになりますが、よろしいですか?」と聞いてきました。「4DX??なんだっけそれ。すごく設備の良いスクリーンだったかな。まあいいや、おもしろそうだからそれでいこう」と深く考えずチケットを購入。ちなみに月曜日のコロナワールドは、男性サービスデーで1,100円で映画を観られます。今回は1000円プラスで、2,100円を支払いました。こうして何の予備知識もないまま、観ることになったのです。

館内に入ると、どうも様子がおかしいです。シートが通常より浮き上がっていて、足を掛けるフットスペースまであります。本編上映前には、4DXに関しての注意事項がスクリーンに流れました。むやみに立ち上がってはいけない、水が掛かるがオフにすることもできる、小さい子どもは体験できないなどなど。もはや完全にテーマパークのアトラクションです。ここまで観ればどういうものかさすがにわかります。

注意事項の後には4DXをごく短時間で体験できるデモが上映されました。カーチェイスをしている男女が二人登場し、荒っぽい運転をします。それに合わせシートが上下左右に揺れます。ものすごく激しく揺れます。そして水やプシュッという空気音、ミスト、フラッシュと様々な刺激が身体に物理的に与えられます。このデモだけで度肝を抜かれました。「これはすごいところに来ちゃったぞ」と興奮もしました。

ここからようやく本編の感想です。結果的に一番すごいと思ったのは、このデモになりました。それは当然ですよね。デモは4DXの魅力を伝えるために、最も効果的な使い方をしているからです。

しかし通常の映画にそれを持ち込むとどうなるか。正直言って、ストーリーに集中することができませんでした。シーンが屋外であれば座席にも薄っすらと風が吹き、雨であれば前面のシートから水が出てきます。そうする目的は何かというと、より臨場感を与えるためですよね。あたかもスクリーンの中に自分がいるかのように、映像とリンクした演出を行っているわけです。でも、それはやはり無理があります。実際に自分が座っているのは劇場の中と冷静に考えずともわかります。なにしろ映画を観に来ているんですから。なのでそういった物理的な効果を身体に与えられると、作品を楽しむには邪魔な騒音のような存在に感じてしまうんです。

アクションシーンともなれば、シートはガンガンに激しく動きます。主人公が殴られれば、シートの背もたれからドンドンと太鼓を打つような刺激が来ます。確かにおもしろいんですが、これで映像に集中しろというのは難題を突きつけられたように感じます。アクションシーンを盛り上げるというよりも、なんだかすごい劣悪な環境で映画を観ているような気分にもなってきます。効果のほとんどが、集中を妨げる余計なものに思えてきてしまうんです。

つまり、この4DXを映画だと思うからいけないんですね。映画の脚本を楽しみ、カット割りや構図、アングルを味わいたいなら、4DXは自分にとって不向きです。普通のスクリーンが一番。そうではなくて、「今日はちょっと激しい乗り物に乗って楽しもうかな」みたいな時に、4DXという選択がありえるのかなと。

二時間、映画を観るというよりは、予算を十分にかけた贅沢な映像のついたアトラクションを楽しむ。そういう感覚で観るなら、4DXはおもしろいのかなと思いました。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。