シンガポール旅行記 2-6 ずっと旅を続けているような

161203-1

バングラデシュ人の撮影を行なっているうち、カプセルはもと来た位置へ戻ってきました。30分掛けて一周したのです。4人揃って外へ出て、帰りの順路を歩きます。「外でも俺のことを撮ってくれ」と頼まれるかとヒヤヒヤしましたが、さすがにそれはありませんでした。バングラデシュ人は1人で土産物屋へ歩いてきました。

僕はと言えば一階へ下り、シンガポール・フライヤーを後にすることにしました。湾岸沿いの道をしばらく歩くと、ちょうどクルーズ乗り場に船が到着するところでした。船着き場にいるおばちゃんに「乗ることができるか?」と尋ねてみます。「このタイミングで?」と驚いた顔をされましたが、チケットを扱っている近くのプレハブ小屋へすっ飛んでいき、チケットを取ってきてくれました。料金は25シンガポールドル(約1,925円)。

料金を払って早速、中へ入ります。屋形船のような大きさのクルーズ船で、中には20人くらいの観光客が乗っています。僕が最後の乗客です。乗り込むとすぐに船は出発をはじめました。湾岸沿いにそびえるマリーナ・ベイ・サンズの前を通り、ぐるっと迂回してシンガポール川へ入ります。ゆったりとしたスピードで走る船から、近代的なビルが立ち並ぶ街並みを眺めました。

窓がない開放された窓枠に肘を掛け、外の景色を見ることなく眺めました。すると不思議な感覚が訪れてきました。僕は昨日の夜、シンガポールに着いたばかりです。海外へきたのは、6月以来、約半年ぶりです。なのに日本へ戻らず、ずっと何年も旅を続けているような気分になってきました。シンガポールの街も初めて訪れたような気がしません。旅の途中に、見慣れた国の見慣れた街を通り過ぎているような感覚です。

色々な国の言葉が飛び交うクルーズの中で、そんな奇妙な心持ちを持ちました。もちろんいつまでも旅を続けることは、現状ではできません。明後日の夜の便には日本へ帰る予定です。おそらく「一年のほとんどを、旅をしながら過ごしたい」そんな願望が心の中にあって、ゆっくり流れていく景色を見ているうち、現実と願望が重なり区別がつかなくなったのだと思います。

次にこの国に訪れる時、自分の未来はどんな感じなんだろうか。現実の感覚を取り戻した後、そんなことを考えました。(続きます)

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