サーチライト片手に

ブルーデザインという事務所名をしておりますが、業務内容はデザインだけではありません。もともとの出身が雑誌編集者のため、取材や執筆、写真撮影も日常的な業務として行なっています。

最近、その取材の仕事をしていて気づいたことがありました。インタビューというのは基本的に、文章としてまとめることを前提にしています。そのため話を聞きながらも、すでに頭の中では文章の構成をはじめています。

これまである程度の数をこなしてきているため、「文字数的に、このくらいお話を聞けたら十分」だとか、「もうちょっと突っ込んで聞かないとテキストとして物足りないな」といった勘所もわかってきます。

しかもただそうしてお話を聞くだけでは、結果的におもしろいテキストにはなりません。記事の核となるような部分が必要となります。構成を考えつつ、核となる部分を探しながら話を聞くわけです。

その工程は、深い海の中をサーチライト片手に潜っているのと似ているように思います。最初のうちは、光の当たる部分(お話してくれる部分)しか僕には見ることができません。しかし存在感のあるものへ近づいていけば、その姿が見えずとも気配を感じることができます。そこに何かしらポイントとなるようなものがある。そう思ったときにはサーチライトで暗闇を照らしてみるようにして、いくつかの質問を投げかけてみます。

ライトがその「何か」を捉えることができれば、本人も気づかなかった思いがけない心の内面を知ることができます。もちろんそれを記事にするかどうかはまた別の話です。その本人も気づかないでいた部分は、文章化して多くの人に知られることを望まない箇所かもしれないからです。

しかしインタビューの醍醐味とは、やはりこのサーチライトの照らし方にあると感じます。目に見えているわかりやすい部分というのは、いくら表現力豊かな文章としたところで読む人の心を打ちません。真実とは、本人も気づかないでいる部分にあると思うからです。

目の前にいる方のお話に耳を傾けながら、僕は常にサーチライトを片手にしています。まだ現れていない水の中の深い部分を探っている、そんな心境を抱きながら。