次のステージへ進め、というメッセージ

やっている仕事の一つに、ウェディングの撮って出し映像というのがあります。結婚式の挙式から披露宴の再入場までを動画で撮り、それを結びまでに編集して最後に上映するという仕事です。映画のエンドロールにちなんで、エンドロールムービーとも呼ばれています。

かれこれ5年くらいやっている仕事です。最近、気づいたのは、この撮影であまり緊張しなくなってきたということです。ほんの数か月前までは、結構、緊張して撮影していました。緊張する理由は色々あります。まず「ミスれない」というプレッシャーがありますね。特に挙式中は指輪交換やキスなど撮り逃がせないシーンがあるので、緊張感が高まります。

後は、時間との戦いもあります。披露宴の最後に上映を行いますから、撮影をしながら手早く編集を進めないといけません。さらに曲にきちんと収まるよう十分に素材を用意しなくてはなりません。最初の頃はカット数が足りるか不安になって、手当たり次第に素材を集めていたように思います。

最近は焦ることもなくなり、落ち着いて撮影できるようになりました。これは良い面も悪い面もあります。良い面は落ち着いているほうが断然、良い映像が撮れるということがあります。視野も広いし、「この場面で何をどう撮るべきか」という選択肢がすんなりと浮かびます。焦って手当たり次第に撮っていた頃よりも、数段良い素材を残せていると思います。

では悪い面は何か。それは保守的になるということですね。高いリスクを犯さずともそれなりの素材を残せるため、冒険しないようになります。「仕事をきちんとやり遂げる」という観点で見ればこれで問題はないんですが、同じところに留まり続けていても成長が見込めません。やっていても結果が見えているのでおもしろみもありません。

そう考えると、「緊張しなくなってきた」というのは「次のステージへ進め」というメッセージなのかもしれません。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。