「ビル・カニンガム&ニューヨーク」を観ました

Amazonビデオで、「ビル・カニンガム&ニューヨーク」という映画を観ました。とてもおもしろい映画でした。

ビル・カニンガムとは、ニューヨークに在住していたストリートフォトグラファーです。「在住していた」と過去形にしたのは、2016年6月に亡くなっているからです。死因は脳卒中。享年87歳でした。

この映画はビル・カニンガムさんに密着したドキュメンタリーです。観るとわかりますが、おそらくビル・カニンガムさんは亡くなる直前まで片時もカメラを離すことなく、夢中でシャッターを切り続けていただろうと思います。

ビル・カニンガムさんはニューヨーク・タイムズでコラムを連載していました。ファッションショーやパーティー、そしてストリートで素敵だと思うファッションの人を写真に撮り、それを掲載していたのです。

映画の公開は2013年ですので、おそらくスクリーンの中のビル・カニンガムさんの年齢は80代前半だと思います。彼は毎日自転車に乗りニューヨーク中を走り回り、ずっと写真を撮り続けます。彼は人を撮るのではないと断言します。事実、有名人がいてもカメラを構えようとしません。彼が見ているのはその人が身に着けている洋服だけなのです。

有名人が着ているスタイリストが用意した服装には興味を持たないと言います。その人自身が自腹を切って買い、自分のスタイルにしているファッションにこそシャッターへの触手が動くのです。

映画の途中で60代の頃のビル・カニンガムさんのインタビューが挟まれます。ずっと80代前半の風貌を見ているので、その姿の若いこと!そして非常にエネルギッシュです。60代といえば、日本ではすっかり枯れてしまう人も多い思います。ビル・カニンガムさんはこの年からさらに20年以上も街中を走り回り、写真を撮り続けてきました。

どうしてこの人はこれほど生き生きとしているのだろう。80歳と言えば、歩くのもままならない人が大勢いるというのに。映画を観ていて疑問が湧いてきます。しかしその答えは非常に簡単なことでした。彼は本当に「好きなことしかやっていない」のですね。ファッションを追いかけ、それを写真に撮り続けることだけが彼のやりたいことで、そのことにしか自分の限られた人生の時間を使っていないのです。

もし僕が「どんなことでも、自分の好きなことを何やっても構わない。それで十分な生活を保証する」と完全な自由を手に入れたとして、すべての時間を捧げるほど情熱を持つことがあるだろうか。そういったことを考えながら映画を観ていました。写真やファッションに興味がなくとも、感じるものがある映画だと思います。