「騎士団長殺し」を読み終わりました

2017-04-27 21:51

 

 

今日、村上春樹さんの「騎士団長殺し」を読み終わりました。率直に言って、おもしろかったです。「1Q84」を読んだ時は、「もうこの人の長編小説を読むのはやめよう」と思いました。単純に読むのが苦痛でした。時間のムダだと思ったのです。

 

「騎士団長殺し」は「1Q84」に比べると数段おもしろかったです。いや、おもしろかったという言葉は適切ではないかもしれません。「1Q84」もおもしろいと言えば、わけがわからないなりに内容自体はおもしろい小説でした。ではこの2つの何が違うかと言えば、ある程度、謎の部分の解明が図られているかどうかにあります。

 

もちろん、「騎士団長殺し」も例によってわけのわからない部分はたくさんあります。伊豆の病院の床に穴が空いて異空間につながり、そこから主人公が暮らしている神奈川の山の上の穴の中へ空間移動する。これは単純に物理的な法則を無視しています。一言で言えば、わけがわかりません。

 

でもわけがわからないなりに、そのことを主人公自身が「こういうことなのではないか」と推測してくれています。つまり謎を謎のままで放り出さずに取り敢えずの着地をさせているのです。

 

主人公の妻が予期せぬ妊娠をしたことも、一応の推測がなされています。何度も登場する「白いスバル・フォレスターの男」のことも、「彼はこういう存在なのではないか」と推測して取り敢えずの納得をさせてくれます。

 

小説内の真実はひょっとして別のところにあるのかもしれません。それを読み解きたければ何度も読み返すほかありませんが、最初に読んだ時点で、一つ一つの謎のピースが埋まっていく感触があります。「1Q84」に比べ自分にとってこの小説の満足感が高かった理由は、謎を回収していく点にありました。

 

物語の構造自体は、いつもの感じです。構造はそのままに、設定と主人公以外の登場人物を変えただけという見方もできます。でも「海辺のカフカ」以来、どうしてもおもしろいと思えなかった村上春樹さんの長編小説の中で、唯一きちんと物語の中へ入り込めた小説でした。純粋に、この次に発表される長編小説が楽しみです。

 


Category:映画・音楽・本

tags: ,



«
»