1000枚のどうでもいい写真より、ものすごく気に入った一枚を

相変わらず、毎日のように街へ出て写真を撮っています。こうして頻繁に写真を撮りに出かけるようになったのは割りと最近のことです。最初のうちは「自分が撮りたい」と思う写真と、「こういう写真が受けるのではないか」といった他人が思うであろういい写真の重なる部分を狙っていました。

他人というのは、当然ながら自分以外の人間のことです。その数は、まあ当たり前ですがものすごい人数になります。なので他人の評価に合わせようと思うと、撮るべき写真というのが際限なく生まれてきます。

しかしある日を境にして、「他人から見て受けそうだ」という視点は持たないことにしました。ネットへアップする時にはこの部分をすごく気にしますが、撮る時にはそれを考えてもしょうがないなと。自分が「撮りたい」と思う衝動を大切にしようと考えたのです。

その結果、街中を歩いていてもシャッターを押す回数が極端に減ってしまいました。これは人によるのだと思いますが、「撮りたい」という衝動が自分の場合、そう頻繁には出てこないのです。一時間歩いて5枚程度しか撮れなかったという日もザラです。これだけ枚数が少ないと、なぜか知らないけど焦ってきます。「せっかく繰り出してきたんだから、もっとたくさん写真を撮らないと!」と気持ちが追い立てられてくるのです。

しかしよくよく考えてみれば、1000枚写真を撮ったとしても、その中で自分の気に入るものが一枚もなければどうしようもありません。その逆にたった一枚しか撮らなくても、それがものすごく気に入った一枚になれば、そのほうが比べるまでもなく価値があります。

なので撮りたいと思う光景に出会えないと焦ってはきますが、すごく気に入った写真を撮るための大切な過程として、気持ちを抑えて歩き続けるようにしています。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。