スロー・リーディングで本の楽しみ方が変わった

2017-06-09 22:06

 

 

最近、小説家である平野啓一郎さんが書いた「本の読み方 スロー・リーディングの実践」という本を読みました。発行は2006年。今から約10年前くらいに出版された本ですね。PHP研究所という出版社が発行している新書です。それほど厚くなく書いてある文章もわかりやすいので、わりとさらっと読むことができました。

 

書いてある内容はタイトル通り、ゆっくりと時間を掛けて本を読もうという提案です。ゆっくり読むことを、スロー・リーディングと名付けています。本の前半部分では、スロー・リーディングすることで得られることを紹介し、後半は実践編として、小説や哲学書の一部分を抜き出しじっくりと解説していきます。速読することではわかり得ないような奥深い解釈を披露してくれます。

 

この本はとてもいい本でした。僕は普段、たくさん本を読みます。といっても精読するわけではなく、斜め読みしながらどんどんと量を読みます。それで一年に150冊とか読んでいたんですが、この本を読み終わって読書の仕方を変えてみようと思いました。

 

特にハッとさせられたのは、読書を旅行に例えた部分です。本を速く読むということは、出張で訪れた町を空き時間にざっと見て回ることだと平野さんは書きます。以下、本からの抜粋です。

 

「一週間滞在して、地図を片手に、丹念に歩いて回るのとでは、同じ場所に行ったといっても、その理解の深さや印象の強さ、得られた知識の量には、大きな違いがあるだろう。旅行は、行ったという事実に意味があるのではない(よくそれを自慢する人もいるが)。行って、どれくらいその土地の魅力を堪能できたかに意味がある。」

 

なるほど。斜め読みで次々と本を読んでいた時は、まさにこんな感じだったかもしれないと思いました。もちろん、速く読んで内容の隅々まで理解できる人もいると思います。でも僕の場合は、どんどん読み飛ばして単語をつなぎ合わせて、意味を推測しながら読み進めるというスタイルでした。これはまさに初めて訪れた土地をざっと見て回るのと変わりません。これでは時間を取って本を読んでいる価値があまりないのではないか。そんな風に思えてきました。

 

そこで実際に昨日、今日と、いつもより時間を掛けてじっくりと本を読んでみました。たまたま読んでいる本が当たりだったというのもあると思いますが、その結果はかなり良かったです。斜め読みしている時は、読書を「消化作業」という風にとらえていました。読みながらも積読している残りの本が気になってしまう感じです。

 

それがゆっくり本を読むようにしてみると、作者の語りかけている言葉が耳に入ってくるように思えてきました。「なるほど、そういう考えなんですね」と相づちを打ちながら読み進めたりして、読書という体験そのものをすごく楽しむことができました。

 

もちろんそれがつまらない本であれば、ゆっくり読むのは時間の浪費です。その時はすぐに読むのをやめるようにしますが、これからはゆっくりじっくりと本を読み、読書をしているまさにその瞬間をもっと楽しむようにしようと思いました。

 


Category:映画・音楽・本

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