あの商品は、どうすれば売れたのか

今日、ガソリンスタンドへ給油に行ったら、店員さんから洗車のプリペイドカードを勧められました。「今だけ、裏の洗車機で使えるプリペイドカードが半額なんですよ。いかがですか」。こう言われた瞬間、反射的に「いえ、大丈夫です」と断りました。

車に乗って帰っている途中に、「半額だったら買っておいても良かったかも」と少し思いました。つまり僕は、店員さんにとって見込み客ではあったわけです。でも結果的に、購入にはいたりませんでした。

僕はセールスというのがものすごく苦手で、自分ではうまくやれる自信がまったくないです。でもこういうことがあると「では、どういうアプローチをすれば良かったのか」と考えてしまいます。

ガソリンスタンドの店員さんは、僕に近づいてくるなり「今だけ、裏の洗車機で使えるプリペイドカードが半額なんですよ」と言いました。おそらくこの言葉の中で引っかかりとして使ったのは「今だけ」という言葉だと思います。限定商品ということを強調して、購買を煽ったんですね。

しかしこういう売り込みで上手くないと思ったのは、近づいてくるなり商品を勧めたところです。いきなりセールスされると、「何か売りつけられる」と身構えてしまうんですね。それが必要なものであっても、拒絶する姿勢を取ってしまいます。

ここで一旦、状況を整理します。店員さんは給油しに来る人、全員に同じように声を掛けていました。しかし全員が半額のプリペイドカードを必要とするでしょうか。この提案のポイントは、価格が安いということです。とすれば狙うべき顧客は、同じように洗車機を使って洗車をしている人たちですね。もっと絞るなら、洗車というものにそれほどこだわりのない人たちです。見た目がそこそこキレイになるなら、価格は安いほうがいいと考える人達です。自分の手を使い時間と労力を投じて丁寧に洗車している人は、その対象から除外されます。

となるとまずはターゲットとなる顧客を探すための選別をした方が効率が良さそうです。丁寧に洗車している人へ向けて「洗車機のプリペイドカード」を売ろうとしても、成果は低いでしょう。

では洗車にそれほど関心のない顧客をどうすれば探せるか。最初の声かけの内容を「車キレイですね。洗車はどこでされてますか」というものにしてはどうでしょうか。セルフ式のスタンドでガソリンを給油している最中ですから、質問されれば答えてくれるでしょう。丁寧にやっている人であれば、「自分で手洗いしてますよ」と答えてくれそうです。それほど熱心にやっていない人であれば、「たまに洗車機にかける程度ですね」という回答が返ってきます。

もちろん狙うべきは、後者の人たちです。その回答に対して一旦、「コイン洗車ですか。最近の洗車機は性能がいいですから、結構、キレイになりますよね」と共感すると顧客との距離が近づくでしょう。そして、「うちにも洗車機があるんですが、今日だけプリペイドカードが半額なんです。よかったらいかがですか」と最初のセリフを言えばどうでしょうか。ターゲットを探さないまま、距離も縮めないままセールスを行なうよりも、よほど成功確率はアップするのではないでしょうか。

ただここまで考えてみても、経営者の方が「ともかく全員に同じフレーズで声をかけろ」とローラー作戦的な指示をトップダウンで出しているとすれば、アルバイトの人は思考停止になってしまって全員へセールスを繰り返すかもしれませんね。どういうセールスをすれば成果を出せるのか、これはその場にいる全員を巻き込んで、みんなで解を考えると団結力が高まって一層うまくいきそうです。