作品を作る時には、自分の外側でなく内側を見る

何かものを作る時に、自分の意識を内側へ向けるのか外側へ向けるのかというのは、自分にとってテーマの一つになっています。そのことについて少し書いてみます。

一昔前、作ったものを多数の人に見てもらうというのは、一部の人に与えられた特権でした。テレビ・ラジオ・雑誌・新聞の4マスメディアにのせて届ける他なかったので、まずはそれらに認められる必要があった。それが今は、SNSという恐ろしく便利なツールが生まれました。文字でも写真でもアップすれば、そのまま全世界へ向けて公開することができます。

公開するだけが目的であれば、これで簡単に達成が可能です。しかしSNSには通常、その投稿を評価する仕組みが備わっています。いわゆる「いいね」ボタンですね。良い投稿だと思った人は、その写真や文章に対してポジティブな反応を返せるのです。

この「いいね」ボタンというのが曲者なんです。おそらくインターネットが出てくるまでは、4マスメディアに載るだけで人は満足していたはずです。それが今では、SNSであれば掲載へのハードルというのがゼロに等しくなりました。発信することが特別なことではなくなった。誰にでも平等にチャンスがある。そうなると今度は、「いいね」ボタンをもらうことが目的になります。

プロが評価するコンテストを狙うのとは違って、不特定多数の一般の人から「いいね」をもらうのはとても難しいです。何が難しいか。

コンテストの場合は、実力が備わっていれば良い評価を受けるという予測がつきます。なぜなら、審査する人は審美眼を備えているから。その役割を担うだけの根拠があるからその場所にいるという保障があるからです。そのため、純粋に自分の作品の質を高めること、(作品というのは自分の内側から出てくるものなので)自分の内面を見つめることに注力することができます。

一方、一般の人から評価を求める場合、良いものやレベルの高いものを出したからと言って反応されるわけではありません。時代の流れや流行り廃り、発信者の勢いというのがウェートを占めると思います。つまり自分の内側でなく、外側へ目を向ける必要があるんですね。

社会という自分の外側の視点へ目を向けながら作品を作ると、自分が本当に作りたいものは何なのかわからなくなってきます。他人の顔色を見ながら行動しているようなもので、やっていることに自信が持てない。しかも流行りのものは皆が作りたがるので、そこから差別化をするのも困難になります。同じような作品ばかりが並ぶので、結果的に「いいね」もそれなりの数しかもらえません。

自分の作りたいものがわからなくなる上に、高い評価をもらうのも大変になる。不特定多数の人から評価をもらうことは、こういった意味で難しいと思うのです。

そうであれば、流行り廃りや世間の動向というのはひとまず置いておいて、やはり「自分が本当にやりたいこと、作りたいものは何なのか」を追求したほうがいいです。「世間はどう思うかわからないが、自分はこれがいいと思うのだから仕方がない」そういうスタンスで作り続けるほうが、まず何より後悔がないです。そして自分が持っているものをそのまま出すことになりますから、作るという行為そのものに充実感を感じられます。

結果的に大きな評価を得られればそれに越したことはないですが、それはあくまでもボーナス的なものとして脇に置いておく。まず何より大切なのは、作品を作り出す自分の内側ときちんと向き合うこと。このスタンスを取り続けていれば、作品のテイストが自分の意図しない方向へ行ってしまうことはないのではないか。

そんなことを思いながら、写真を撮ったり文章を書いたりしている今日このごろです。