ブックレビュー「チーズはどこへ消えた?」

内容はタイトル通り、「消えてしまったチーズを探しに行く」というものです。

登場人物は2匹と2人いて、そのうち2匹(ネズミ)は消えた途端に新しいチーズを探しに行きます。残り2人(小人)のうち1人は時間が経ってから腰を上げ、最後の1人は結局その場に留まってしまうというストーリーです。

チーズは、物語の中では食料を表していますが、もちろんこれはメタファー(隠喩)です。

ある人にとっては仕事かもしれません。恋人かもしれません。ローンを組んで購入した家であったり、家族なのかもしれません。

そういった「大切にしている身近なもの」が、忽然と姿を消してしまったら…。あなたなら、どうするか。

いつか状況は元通りになると信じて、ひたすら待ち続けるか。待っていても状況は変わらないと諦め、新しいチーズを探しに行くか。

この物語の素晴らしいのは、行動できない(しない)理由を端的に言い当てている点です。つまり行動しない理由とは、自分の頭の中にある恐怖心なんですね。

人は誰しも、現状を変えたくないという現状維持バイアスがあります。それがどのような現状であれ、価値を上乗せしてしまうのです。

変化を起こそうと思うと、「うまくいかないんじゃないか」という漠然とした不安なイメージを思い描き、立ち止まることを選択します。

でも物事というのは、少しずつであっても絶え間なく変化しています。変化する状況の中で変わらないままでいる、それはすなわち後退することを意味してしまうんです。

変化を起こそうと思うと常に恐怖心は現れる。でもこの物語の中で繰り返し出てくるように、「もし恐怖がなかったら何をするだろう?」と思い浮かべてみてください。

恐怖がないとしたら、「あれもやりたい、これをしよう」と行動することが自由に思えます。見えない恐怖心によって、いかに行動が制限されているか。変化に恐れることなく前へ進み続けることを選択したいですね。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。