静かなるやみつき・8番らーめん

こんにちは。石川県でいちばん有名なラーメンは何かと言えば、8番らーめんをおいてほかにないです。ちなみに8番の8は全角。らーめんはひらがなでお願いします。

遠方から北陸へ遊びに来たラーメン好きは、おそらく検索や人づてで8番らーめんを食べることがあるのでは。でも、食べたらものすごく拍子抜けするのではないでしょうか。「え、なにこれ、普通のラーメンやん」と。

そうなんです。8番らーめんて、ものすごく普通なんです。でも地元では結構、やみつきの人が多いと思います。

「どうしても8番が食べたい!」と激しい気持ちにはならなさそうですが、ひと月くらい間隔があくと「そろそろ8番でも食べようかな」となるんです。

夢に出るほど恋しくなるような、夜中に猛烈に食べたくなるような、そんな強いやみつき感ではないのです。言うならば、消極的なやみつきです。

どこがそんなに美味しいのかと聞かれると非常に困ります。消極的なやみつきの食べ物なので、味の説明もうまくできないんです。

おそらく、麺の味が良いのだと思います。あとは野菜を炒めてざーっと入れるので、野菜のコクと油がほどよく調和しているのかもしれません。

でもそれらも「そのへんが理由のような気がする」というだけ。これが天下一品であれば、わかりやすいですよね。あの、こってりスープがたまらないとファンの人は言いそうです。

8番ファンの人に理由を聞いてみると、「なんでやろなあ、なんで8番がいいんやろ」と答えるかもしれません。しかも8番らーめんのキャッチコピーはこの「なんでやろ」なんです。もう自ら「理由のない静かなおいしさ」と認めてしまっているんですね。

ということで遠方から北陸へ遊びに来た方は、ぜひ話のネタに8番をどうぞ。おそらく通算で30杯くらい食べたころに、「なんでかわからんけど、食べたくなる」と静かなやみつきの門をくぐることになるでしょう。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。