やりたいことだけに、自分の時間を使っているか。千葉敦子著『ニューヨークの24時間』レビュー

ニューヨークの24時間

千葉敦子さんが書いた、『ニューヨークの24時間』をご紹介します。

内容はニューヨークで働くジャーナリスト・千葉敦子さんの、仕事術・生活術のご紹介といったところでしょうか。
買った本は文庫本でしたが、単行本の発行年は1986年。
ウインドウズ95の生まれる10年前の話です。

なので仕事術といっても、留守電の入れ方とか手短に電話で要件を伝える方法とか、今の時代と合わない部分が多々あります。

この本のポイントは、そういった仕事術の細かな内容ではありません。
なぜそれほど効率化にこだわるのか、その思想的な部分にあります。

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あなたがやっている仕事は、本当に好きなことですか

序盤でその答えのような文章が出てきます。
序盤だけでも買ってよかったと思いました。

一部を引用します。

誰も、自分の人生の長さは知りません。
この世に生きている長さ。それを知る人はいないのです。

自分に納得のゆかない仕事に就いていたり、本来の自分の能力とは関係のない仕事を選んでいる人に、上手な時間の使い方を教えることは誰にもできないと思うのです。

たとえば、ライターには書くことが好きな人だけがなるべきです。
書くことが好きでもないのに、この職業を選んではいけません。

つまり千葉さんは、「生まれたからには、すべての時間をやりたいことのために使う」と決めている人なのです。

やりたくないことに使う時間は、壮大な無駄遣い

千葉さんはジャーナリストでありライターです。
当然、文章を書くのが得意。
その得意分野で稼いでいくことを心に決め、なおかつ気の乗らない仕事はやらないと決めています。

そういった生き方では同年代の方たちより年収は劣るのですが、彼女はそれでいいと考えています。

「やりたくないことに時間を使う」、それこそが、人生における時間の壮大な無駄遣い。

自分のやりたいことを思う存分やって成果を出すために、あらゆることの無駄を削り時間を捻出しているんです。

千葉さんに残された、明確な残り時間

ぼくは予備知識を得ず、この本を読み始めました。
中盤で知ったのですが、千葉さんはこの本の執筆時点で、乳がんを患っています。
1981年に最初のがんが見つかってから、3度の再発を経験しているんです。

そのことを、本の中でクローズアップしているわけではありません。
むしろ、病気についての記載はごくわずか。
ですが、もちろん千葉さんの中には、明確な「残り時間」の意識があったはず。

実際、千葉さんはこの本を出版した翌年に死去しています。

人生を根本的に問い直せる本

ぼくもまた無駄な時間というのが好きではありません。
時間を投資や消費、浪費と切り分け、なるべく浪費の時間がないように過ごしています。

でも根本的な部分で、「好きな仕事だけをやっている」と自信を持って言えるか…。
いくら時間を効率的に使っていても、やりたくない仕事に多くの時間を奪われていては、何をしているのかわかりません。

今の自分の生き方を問い直す、響くことの多い本でした。

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写真家だった伯父の中判フィルムカメラ、HASSELBLAD 500C/Mで写真を撮っています。 このブログでは好きなガジェットや、使いやすいウェブサービスのことを書いています。@nishidekoichiro