はじめることより、やめることのほうが大切

人生はときに、何かをはじめるより何かをやめることによって、大きな変化をもたらします。この5年でぼくは大きく変化しました。それまでは目の前のことを処理するだけでしたが、もう少し先の、5年後くらいまでを考えながら行動できるようになったんです。

そのきっかけは、3つのことをやめたことでした。その3つとは、お酒と砂糖とテレビです。

お酒をやめて、体質改善し時間が増えた

もともとお酒はそれほど強くないのですが、飲み会などに誘われれば誘われるままに参加していました。そしてアルコールに強くないため、その日の夜はもちろん翌日も体調が優れなかったんですよね。

そこで、きっぱりとお酒から縁を切ることにしました。飲み会はすべて断るようにして、家ではもちろん、レストランでも友達と食事をしているときでも、アルコールを一滴も飲まないように。

そうしたら、自然と時間が増えました。大きかったのは飲み会を断るようになったことです。それまでは「誘われたから行かないと悪いな…」という消極的な理由で参加していました。

そんな感じだから参加してもそれほど楽しくありません。さらに翌日は体調が不調になってしまうと悪い事だらけ。

でも断ってみると、そのことで人間関係が崩れるということは一切なかったです。「このひとは飲み会には来ないひとだ」と認識されて、誘われなくなるだけです。仲のいいひととは関係性がそのままで、飲み会の代わりにランチへよく一緒に行くようになりました。

結局、「飲み会を断ると人間関係に亀裂が入る」と思っていたのは、自分の思い込みだったんです。むしろそれくらいで崩れる関係なら、これを機会に精算したいとさえ思うようになりました。

ともかく時間は増えるし、体調はキープできるし、良いことばかりです。

砂糖をやめて、疲れにくくなった

砂糖はとある映画を見て、実験的にやめることにしました。「あまくない砂糖の話」というドキュメンタリー作品です。

この映画では食品に入っている砂糖の多さや、砂糖がもたらす人体への影響などについて語っています。それをみて単純に怖くなったのと、もうひとつは「やめたらどうなるんだろう」という興味本位で、砂糖抜きの生活をしてみることに。

効果はすぐに現れました。なによりも疲れにくくなったんです。ぼくはそれほど体力のあるほうではなく、わりと疲れやすい体質でした。午前中に仕事を一生懸命すると、午後には息切れしてしまう感じ。

それが明らかに体力が持続するようになったんですよね。撮影などで一日動き回っても、肉体的な疲労は感じますがじわじわくる嫌な疲れはなくなりました。

これらすべてが、砂糖抜きによるものかはわかりません。プラシーボ効果かもしれません。でもこれ以降、砂糖は極力とらないように生活を送っています。

テレビをやめて、夜の時間が劇的に増えた

最後はテレビですね。おそらくこれがわかりやすくて、しかも効果が高いものでした。単純にテレビをやめると、時間が劇的に増えます。テレビは究極の時間泥棒です。

プロの制作会社の人たちが資金を使って作っているコンテンツですから、チャンネルを変えないよう様々な趣向を凝らしています。電源を入れて目の前に座っているだけで、おもしろい映像が流れてきます。

これらのほとんどは1時間単位で放映されるため、一度見始めると1時間きっちり消費されてしまいます。次の番組まで見ると2時間です。

夜のリラックスしたい時間についテレビを見始めると、2〜3時間くらいが一瞬で過ぎ去ってしまいます。たまにならいいですが、これが毎日だとひと月で100時間くらいを消費していることになります。これはおそろしいことです。

テレビをやめたその日から、「夜ってこんなに長いんだ」と実感できました。朝には朝に向いていることがあるし、夜には夜に向いていることがあります。夜にはゆっくり読書をしてもいいし、日記を書いて自分と向き合うのもよいと思います。コンテンツを受動的に消化するだけではあまりにももったいないです。

やめることにフォーカスしていく

こういった感じで、大きく「お酒・砂糖・テレビ」という3つがやめてよかったものでした。

まだまだやめたいものはあります。いま一番やめたいのは、車の運転です。地方なのでしょうがないといえばそれまでなのですが、運転しているときに流れていく時間が本当に惜しく感じます。なにか生産的なことに使えないものか。

「これでよし」と現状に満足してしまわずに、「これをやめることはできないか」とやめることにフォーカスしていきたいです。「始めることより、やめることのほうが大切」とようやくわかりました。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。