速く、質の高い記事に仕上げる、インタビューのコツ

これまで編集者として5年、フリーライターとして8年活動して、300人くらいのインタビュー原稿を作ってきました

相手のほとんどが、企業の経営者や専門職など一般の方です。

対象者がインタビュー慣れしていればよいですが、一般の方は自分の考えを言語化していない場合があります。
質問をして淡白な答えしか返ってこなければ、既定の文字数が埋まらない悲劇が起こります。

そのため自分なりに工夫してインタビューしてきました。
インタビューのコツを書いてみます。

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速く、質の高い記事に仕上げる、インタビューのコツ

ポイントは以下の7点です。

1 事前に質問を送る
2 質問は、「過去・苦労(課題)・解決・未来」と時系列に考える
3 インタビューしながら、構成を考える
4 音声記録を取る
5 メモを取りながら書き言葉に変換する
6 重要なポイントは「なぜ」を繰り返して深堀りする
7 納得のいく答えを聞けたら、相づちを深く打つ

では詳しく説明していきます。

※ちなみにここに書いたのは、長くて4,000字程度までのインタビュー記事を想定しています。

1 事前に質問を送る

インタビュー前に質問を用意しますが、その内容は取材前(できれば1週間前)に対象者へ送るようにします。
なぜなら、「当日はこんなこと聞かれるのか、だったら事前に内容を考えておこう」と下準備してもらえるからです。

特に普段、インタビューなどを受けていない方は、ぶっつけ本番で質問されても薄い答えしか返ってこない可能性があります。
その場の質問である程度、掘り下げられるとしても、対象者からパッと言いたいことが出てくるとは限りません。

リスクを減らすため、質問は前もって送りましょう。

2 質問は、「過去・苦労(課題)・解決・未来」と時系列に考える

質問は、「過去・苦労(課題)・解決・未来」と時系列に考えると、原稿作りを楽に進められます。

過去とは、聞きたい事柄の「そもそも」の部分

一般の方への取材の場合、原稿に書く書かないは別にして「そもそも」を聞くことはマストです。
過去のスタート地点を聞くと、それからの道のりの様々な点でつながることが多く、話に厚みが生まれます。

苦労とは、物事を進める上で困難に思えたこと

苦労の裏にはドラマがあります。
マイナス面を聞くことで読者から共感を得られるし、人間味も表現できます。

解決とは、苦労をどのように乗り越えたのか

乗り越えた方法は読者にとって有益な情報です。
また一度、落ちてから上る様子を書くことで、引き込まれる原稿になります。

未来とは、これからのビジョン

ここはまとめの部分です。
明るい展望を聞くと、原稿をポジティブにまとめられます。

以上を踏まえて、質問案の例を下記に書きました

【例】Aプロジェクトについて、担当者への質問案

・過去
Aプロジェクトとは?
それまではどのようなプロジェクトにいましたか。
そもそもこのプロジェクトの担当になったきっかけは?

・苦労(課題)
このプロジェクトを進める上で苦労した点は。
そのときの状況を教えてください。
部署内の空気はどのようなものでしたか。

・解決
課題解決のきっかけは?
ヒントを与えてくれた人などいましたか。
解決できたときの率直な気持ちを教えてください。

・未来
このプロジェクトを今後どのように育てていきたいですか。
業界内で広がっていく見込みは?
これからの展望を教えてください。

このくらいの質問を事前に送ると、インタビューはかなりスムーズに進みます。

3 インタビューしながら、構成を考える

質問案をもとに話を聞きながら、原稿の構成案を同時に考えます。

質問を考えた時点で、原稿の流れはつかめているはずです。
話を聞きながら構成を考え、ポイントと思った部分でさらに質問を重ね深堀りします

4 音声記録を取る

インタビュー中は、必ず音声記録を録ります。
録音前にレコーダーを見せ、許可を取ってからRECを押します。

ただ原稿はメモだけで作成するため、インタビュー後に音声は聞き直しません。
ではなぜ録っているかというと、理由は2つあります。

1つは、「記録を録られている」と意識させ緊張感を生みたいから

真剣な話を引き出すため、緊張感は大切です。

ゆるいリラックスした空気の方が本音を聞けるかもしれませんが、そういった空気で聞いた話は、ぼくの経験上あとで直されるケースが多いです。

おそらく、その場のノリでリップサービスしすぎるからでしょう。

2つ目は、原稿チェックの際の余計な直しを少なくしたいから

インタビューしてから原稿を渡すまでにはある程度の時間を必要とします。
原稿を渡してみれば、多くの対象者は話した内容を忘れているものです。

すると「こんなこと話したっけ」と訂正したい衝動に駆られるのか、修正の要望の来ることがありました。

でも明らかな間違いは別として、その場で話したことと別の内容に修正希望を出されたら、何のために話を聞いたのかわからないとぼくは考えます。

そのため音声を録ることで、「まあ忘れたけど音声も記録してたし、きっと話したんだな。じゃあまあいいか」と修正をスルーしてもらえるよう仕向けてもいるのです。

5 メモを取りながら書き言葉に変換する

音声記録と同時に、メモを必ず取ります。
原稿を書くときは、このメモだけを参考にします。
そのため、メモの取り方が非常に重要です。

話し言葉は書き言葉と違い回りくどいです。
同じことを何度も言ったり、なかなか話のポイントが見えなかったりします。

そんな話し言葉を、メモする時点で要点をしぼった書き言葉へ直していきます。
これをしておくと原稿を書く際にかなり楽です。

またメモを取っていると、その姿を見た対象者は書き留めやすいよう論理的に話してくれます

完成度の高い原稿を早く仕上げたいなら、メモはマストです。

6 重要なポイントは「なぜ」を繰り返して深堀りする

インタビューで重要なのが相づちです。
相づちのタイミングで、引き出せる話の質が変わります。

ぼくは「ここは掘り下げたほうがいいな」と思ったら、わりとしつこく「それはどうしてですか?」と疑問を投げかけます。

疑問を重ねると最初は表面的な答えであっても、徐々に本質へ答えが近づきます。

7 納得のいく答えを聞けたら、相づちを深く打つ

そして「この深度の答えが聞きたかった」という地点まで到達できれば、「なるほど、そういうことなんですか」と深くうなづきながらメモを取ります。

この、「深くうなずく」がポイントです。

ぼくのその姿を見ることで対象者も、「そうか、このくらいの回答をすると納得してもらえるんだな」と理解してもらえます。

一度この関係を作ることができれば、かなり楽になります。
なぜならインタビューされる側も本質に近い答えをしようとがんばってくれるからです。

大切なのは、取材する側とされる側との共犯関係を作ること

インタビューは、この話す側と聞く側との共犯関係の構築がとても大切です。

インタビューとは、ただ適当に会話しているのではありません。
目的はあくまでも、読者にとって興味深い原稿を作ることです。

そのため、共通認識として「よいインタビュー原稿を作る」とわかり合い作り合う
この関係性があるかないかで、できあがるテキストの質は変わります。

インタビュー後に「今の話で大丈夫ですか。原稿が作れますか」と聞かれることがあります。

この質問が出れば、そのインタビューは成功しています。
なぜなら取材対象者も、良い原稿を作る認識を持ってくれたと感じられるからです。

人の話を聞くのが好きなら、この仕事は天職になる

色々と書きましたが、結局のところインタビューは、話を聞くのが好きかどうかがいちばん大切かなと思っています。

話を聞くのが苦手なら、この職業は正直言ってうまくいかないです。
人の話を聞くのが好きで、文章を書くのも好き。
そんなひとにとってインタビューは天職になります。

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Hasselblad 500C/Mで、写真を撮っています。