インタビューのコツは、取材する側とされる側との共犯関係を作ること

自分の本職はライターなので、インタビューをする機会がよくあります。インタビューする相手は企業の経営者とか専門職の方とか、ほとんどが一般の方です。

普段からインタビュー慣れしているひとならいいんですが、一般の方は自分の考えを言語化していない場合があります。すると質問をしてもあっさりとした答えしか返ってこなくて、文字数が埋まらないという悲劇の起こる可能性が…。

そうならないためのインタビューのコツみたいなのを書いてみます。

聞き直さないけど、音声の記録は必ず録る

インタビューをするときには、必ず音声で記録を録っています。メモも取るため音声を聞き直すということはほぼありません。

ではなぜ録っているかというと、「記録を録られている」と意識させることで発言に緊張感を生みたいというのがひとつ。もうひとつは、原稿チェックの際の余計な直しを少なくしたいからです。

インタビューから時間が経って原稿を渡すと、話した内容のほとんどは忘れてしまっているものです。「こんなこと話したっけ」と修正したい衝動に駆られても、その場で記録を録っていたという事実があります。

そのため「まあ忘れたけど音声も記録してたし、きっと話したんだな。じゃあまあいいか」と修正をスルーしてもらえるように思うんです。

もちろん話したことを元に書いてはいますが、インタビュー記事って自分を少しでもよく見せたくなるものです。修正したくなれば際限なく出てくるでしょう。

でも「記録を録って、自分が話したことを元に書いている」という事実がそれを抑えてくれると思うのです。

メモを取りながら、話し言葉を書き言葉に直していく

音声の記録と同時に、メモを必ず取ります。原稿を書くときには、このメモだけを参考にします。

話し言葉は書き言葉と違って回りくどいです。同じことを何度も言ったり、なかなか話のポイントが見えなかったり。そんな話し言葉を、メモする時点で要点をしぼった書き言葉に直していきます。

そうすると原稿を書く際にもかなり楽です。話を聞き終わった時点で、すでに草稿ができているのですから。

また「自分の発言をメモしてくれている」という状況を見ると、ひとは話していることが論理的になるように感じます。おそらくメモを取りやすいよう、論点を頭の中で整理しながら話してくれているんでしょうね。

話す側と聞く側との共犯関係を作ることが大切

インタビューするときに特に重要なのが相づちです。相づちの打つタイミングで、引き出せる話の質が変わってきます。

ぼくは「ここは掘り下げたほうがいいな」という話のポイントが来たら、わりとしつこく「それはどうしてですか?」という疑問を投げかけます。

疑問を重ねると最初は表面的な答えであっても、徐々に本質へと答えが近づいていきます。

そして「この深度の答えが聞きたかった」と思った地点まで到達できれば、「なるほど、そういうことなんですか」とうなづきながらメモを取るようにしています。

ぼくのその姿を見ることで、「そうか、このくらい深い回答をしたほうがいいんだな」と理解してもらえるとも思っています。一度この関係を作ることができれば、インタビューされる側も本質に近い答えをしようとがんばってくれます。

インタビューは、話す側と聞く側との共犯関係を作ることが最も大切だと思っています。

ただ適当に会話をしているわけではなく、お互いの共通認識として「よいインタビュー原稿を作る」とわかり合い作り合う。この関係性があるかないかで、できあがるテキストの質はかなり変わってくるはずです。

人の話を聞くのが好きなら、インタビューは天職になる

自分は誰に習ったわけではなく、完全に自己流でここまでやってきました。おそらくインタビューを仕事にしている人は、誰もが自分なりのやり方を見つけながら仕事をしているのでは。インタビューをするひとの数だけ、流儀があるんだと思います。

でもひとつ思うのは、「インタビューというのは人の話を聞くのが好き」という人が向いているということですね(当たり前か)。人の話を聞くのが好きで、文章を書くのも好き。そういうひとは天職になるでしょうね。

※ちなみにここに書いたのは、長くて4,000〜5,000字程度までのインタビュー記事です。雑誌の巻頭ロングインタビューみたいな10,000字クラス以上だと、また違ったやり方になると思われます。


金沢在住のフリーランス・ライター。2014年より海外への一人旅をはじめる。これまでに訪れた国は16カ国。旅に使っているカメラは、2016年秋に亡くなった写真家の伯父・富岡省三氏のHasselblad 500C/M。