語り尽くされていますが、改めて思う「進撃の巨人」のすごさ

「進撃の巨人」の最新刊が出ると真っ先に買っているんですが、いつも内容がよくわからなくなります。

1巻から欠かさず買い続けています。そして10巻を過ぎるころからストーリーについていけなくなり、新しいのが出ると1巻から読み返さないと理解できないんです。

読み返して毎回思うのは、「この漫画は本当にすごいな」ということ。何がそんなにすごいのか。少し書き出してみます。

綿密な伏線がかなり挿入されている

まずは伏線が綿密に散りばめられている点です。

この物語の中心は、調査兵団です。壁の外にいる巨人の生態調査を行ない、人類が自由になる術を探っている組織です。

この調査兵団の中に、敵であるはずの巨人が主人公を含めて4人もいました。人間の姿をして混じっていたんですね。

そのことは物語の中盤になって判明するのですが、1巻から丁寧に読み返すとそれを裏付ける伏線が多数挿入されています。

読んでいるときには何ら不自然に思わなかった多くの行動に、「なるほどそういうことだったのか」と後になって納得してしまう。

おそらく作者はかなりしっかりプロットを組んでから、この漫画をスタートしたのだと思います。そうでないと納得がいきません。行き当たりばったりとは思えない、丁寧な伏線がありすぎなんです。重厚的なストーリーと感心します。

単純な勧善懲悪ではない複雑な構造

次にすごいと思うのは、敵・味方の概念がないことです。

この漫画を読むと、最初のうちは単純な「人類 vs 巨人」の構造だと思います。

巨人は知性がなく、ただただ人類を食べるのが目的で生きています。しかも食料としているわけではないんです。食べたら多少消化したあとに、吐き出してしまいます。口の中に入れて殺すことだけが目的なのです。

そんな存在は当然ながら人類にとって敵です。調査兵団は巨人を倒すことばかり考えて日々訓練に明け暮れます。

でも物語の途中から、「巨人は人間が変化したもの」という事実が明らかになります。憎むべき異質な存在である巨人は、自分たちと同じ人間だったのです。

この瞬間から、巨人を倒す目的が揺らいでしまいます。そりゃそうです。化物と思って戦っていた正体が人間だったのですから。単純な勧善懲悪の構造でないところに魅力を感じます。

中盤から一気に広がっていく世界観

この「敵味方の概念がない」のは、なにも「人類 vs 巨人」に限りません。

序盤から中盤は壁の内側で暮らす人たちの視点で物語は描かれています。ところが21巻から別の国の物語がはじまります。壁の内部にしか人類はいないと語られていたのに、実際には壁の外に多数の国があったのです。

彼らにとって壁に囲まれている国は驚異となる存在でした。根絶やしにしてしまいたい憎悪の対象。「悪魔のような存在」とまで形容されます。

それまでは壁の内側の視点だけだったので、その中に登場する人物に感情移入していました。そんな彼らを憎んでいる人たちがいて、実際に攻撃を仕掛けようとしている。

そうして読んでいくと、「何が正しくて何が間違っているのか」わからなくなります。

謎を解明しつつ、壮大なストーリーへ発展

そのためこの漫画は、「巨人をやっつけてすっきりする」といった単純なバトルものにはなりませんでした。巨人を利用して生き残ろうとする人間と人間の、果てしなく長い戦いの物語です。

それらが最初から明かされずに、「巨人とは一体なんなのか」「なぜ壁に囲まれているのか」を少しずつ解き明かして壮大なストーリーへと発展させていく。この手法がすごいと思いました。

最新刊の28巻を買ってから、しばらくして1巻から読み返しました。改めて「すごい」とうなります。この分だと、これまでに読んだ漫画の中で最高点を付けることになりそうです。

明日からの10連休のGW。どこへ行っても人混みだらけなら、家で「進撃の巨人」の全巻を一気読みするのも有意義な時間の使い方になると思います。


中判フィルムの美しさに心打たれ、伯父さんの遺品ハッセルブラッドで写真を撮るように。年に数回、海外へ一人で行き、フィルム写真と旅行記を発信しています。