文章とは、情報を伝えるための道具である。中嶋 聡著『結局、人生はアウトプットで決まる』レビュー

結局、人生はアウトプットで決まる

今年読んだ本の中で影響の高かった1冊が、中嶋聡さんの『結局、人生はアウトプットで決まる』です。

この本の良い部分はたくさんあるのですが、最も心を動かされたのがこの記事のタイトルにも書いた一文です。

そもそも、文章とは感想や感情ではなく、「情報を伝える道具」

『結局、人生はアウトプットで決まる』

これを読んだときに、頭の霧が晴れる思いがしました。

必要なことだけを、心情的要素を含めずに書く

中島さん自身がこのことに気づいたのは、一冊の本がきっかけでした。
それは『理科系の作文技術』です。

この本では、特に仕事の文章においては必要な要素だけをもれなく記述し、心情的要素を含まず書くことを説いています。

『理科系の作文技術』を読んで中島さんは、「文章にとって大切なのは『情報の伝わりやすさ』」と気づき、それまで苦手だった執筆が簡単なものに思えました。

小学生の作文の体験が、文章を書けなくしている

そもそも日本人にとっては、小学校時代の作文を書く授業が弊害となっています。
本の感想や感じたことといった曖昧な記述を求められ、幼少期という人生のスタート時点で文章を書くハードルを無駄に上げられているんです。

自分の心の動きを言語化するには、メタ認知とそれを表す語彙力が必要です。
大人でも難しいと思いますが、それを語彙の乏しい小学生が行うのは無理難題です。

しかも作文には、明確な評価基準がありません。
採点は、先生の個人的な感覚で決まります。

そのため先生に受けそうな、きれいごとの感想を書いた作文ばかり作られることになるのです。

文章の本質は、情報の正確な伝達

でも文章の本質とは、美辞麗句を並べ、上っ面な表現をすることではありません。

その目的は、自分が見たり聞いたり考えたりしたことを、正確に他者へ伝えるためにあります。

そのために、むしろ美しい表現は邪魔。
誰かを納得させるための、嘘の感想などもってのほか。

大切なのは情報をわかりやすく明確に伝える、実践的な技術です。

中島さんは本の中で、「例えば、このような課題を子どもたちへ出すべきだ」と主張します。
深く納得しました。

作文の授業で子どもたちに出すべき課題は、本を読んだ感想ではなく、「ランドセルとは何か、見たことがない人に説明する文章を400字以内で書け」といった、情報を伝える描写力を求める内容であるべきなのです。

『結局、人生はアウトプットで決まる』

読者は、合理的な文章を求めている

もちろん詩や小説と言った文学作品は別ですが、文章を読む際、ほとんどの読者は「名文より明文」を求めます。

美しい表現を駆使しても、「結局、何が言いたいんだろう?」となっては、伝達の目的が達成されません。

つまり求められているのは、合理的な文章です。

合理的な文章とは、論理の流れがはっきりとしていて、明快で簡潔な文章のこと。よけいなことは書かず、必要なことだけをもれなく、順序立てて記述した文章のことです。「何を伝えたいのかがはっきりしている文章」とも言えます。

『結局、人生はアウトプットで決まる』

価値ある情報を、合理的な文章で書く

こう読むと、不安がよぎるかもしれません。
「合理的な文章が大切なのは、わかった。でもそんなおもしろみのない文章など、誰も読んでくれないのでないか」と。

ぼくも以前、そう考える部分がありました。
確かに人が文章に求めるのは、「おもしろさ」に違いありません。

でもそのおもしろさには、「fun(楽しい)」と「interesting(興味深い)」の2種類があります。

合理的な文章に、「fun」な要素はないかもしれません。
でも情報に価値があり、論理的でわかりやすく解説してあれば、読む人は「interesting」なおもしろさを感じてくれるのです。

自分の意識を変えてくれた一冊

ぼくは2014年の年末から、毎日のようにブログを書き続けてきました。

5年目の今年2月ごろ、「特に目的なく書いてきたけど、もっときちんとやってみよう」と思い立ちました。

それからデザインを変えてみたり、文章の改行を変えてみたりと試行錯誤をしましたが、この本に出会ってアウトプットの本質的な部分がわかりました。

それまでは日記の延長のような感じで、ただ外へ出すだけで満足していたんですよね。

内面をアウトプットすること自体、無意味ではないですが、「他者へ情報を伝えよう」という意識が、あまりにも欠落していました。

つまりぼくが5年間書いてきたものは、自分にとって無意味ではないけれど、他者にとっては無価値に近い。

すべてがすべてではありませんが、「価値あるものにしよう」という意識が少なかったです。

そんな、ぼんやりブログを続けていた自分の意識を、変えてくれた一冊です。
ブログをやってみたいひと、うまく文章を書けなくて悩んでいるひとは、ぜひ手にとってみてください。

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