『時を稼ぐ男』レビュー【競争優位性を徹底的に考える】

公開日 2021-12-05 最終更新日 2021-12-21

青汁王子こと、三崎優太氏の書籍『時を稼ぐ男』を読みました。
ビジネス面で、とても良いことが書いてありました。
そこでこの記事では『時を稼ぐ男』より、競争優位性の大切さを解説します。

『時を稼ぐ男』レビュー【競争優位性を徹底的に考える】

三崎優太氏とは、起業家であり投資家です。

2014年に製造・販売した「すっきりフルーツ青汁」がヒットし、2017年には社長を務めていた会社の売上が130億円にまで急上昇しました。
執筆時点では会社経営より、YouTubeTwitterなど発信に力を入れているようです。

書籍『時を稼ぐ男』は、ヒットした「すっきりフルーツ青汁」の戦略のほか、自身の過去を振り返りながら、お金を稼ぐためのマインドについて書いてあります。

青汁をヒットさせた戦略

本を読んでぼくが特に「なるほど」と思ったのは、青汁をヒットさせた戦略でした。
三崎氏の取った戦略は主に、以下の3つがありました。

  1. 市場は「領土」と捉える
  2. 競争優位性を考える
  3. 他社を徹底的に調べる

1. 市場は「領土」と捉える

何か新しいものを発売すると、大抵の場合、そこにはすでに市場が存在しています。

例えば、チョコレートの新製品を開発するとしましょう。
そこには、売上規模・約5470億(執筆時点)のチョコレート市場があります。

新しくチョコレート市場へ参入するなら、「どのくらいの市場規模があるのだろう」とまずは調べるはず。
なぜなら市場規模によって、売上のイメージを立てられるからです。

三崎優太氏は、この市場規模を「領土」と表現しています。

市場規模はほぼ一定

市場と言われると、その広さは無制限にあり、どこまでも膨張していくイメージがあります。
しかし「領土」と表現を変えると、とても限定したものに感じます。

言われてみると、確かに市場は限定されています。
例に出したチョコレートの市場規模は、多少の変動があるにせよ、数年後も一定の範囲内に収まっているでしょう。
なぜならチョコレートを買う日本の人口は、急に増減しないからです。

チョコレートが身体に悪い(もしくは良い)と明確な研究データが出れば、市場規模は大きく変動すると思います。
しかしそういったアクシデントがなければ、市場規模はほぼ一定に推移するはず。
つまり、市場とは限定されたものなのです。

領土をどれだけ広げられるか

市場が限定した領土だとすれば、市場参入は「限られた領土の奪い合いに参加する行為」といえます。

100億の市場に参入し、1億円の売上を上げられたとしましょう。
その意味するところは、「100億の領土のうち1%のシェアを取れた」になります。
市場に参入し成功を収めるには、自分の領土を広げていく必要があるのです。

起業をする際に私が最も重要だと思っていることがあります。それは「ビジネスは市場という領土の奪い合い」という考え方です。ビジネスというのは、そこに参入しているプレーヤーたちが命がけで「領土」を奪い合う〝戦争〟であり、価値のある領土を手にすることで勝者になっていきます。

『時を稼ぐ男 新時代の時間とお金の法則』より

2. 競争優位性を考える

ニッチを狙わない限り、市場には複数の企業が参入しています。
領土を拡大する、つまり売上を伸ばすには、その中から消費者に選んでもらう必要があります。

他社との比較に勝たなければならない

消費者は、一社の製品だけを見ているわけではありません。
市場内の複数の商品を比べ、最も良いと思ったものを選びます。

商品を作るときに大切なのは、この「消費者が自社と他社とを比較する」という視点です。
他社と比較して、自社が勝てる点は何か。
この競争優位性を考えることが、大切なのです。

この競争に勝つには、ライバル企業と比較して、少しでも高い「競争優位性」を持たなければなりません。自分たちの会社が他社よりも優れていれば、必然的に相手の領土を奪い、「自社の市場占有率」を高めることができます。

『時を稼ぐ男 新時代の時間とお金の法則』より

2つの競争優位性

三崎優太氏は青汁を商材に選んだとき、2つの競争優位性を思いつきました。
その2つとは、以下です。

  • 飲みやすい青汁の開発
  • ネット広告の活用

飲みやすい青汁の開発

一つは、飲みやすい青汁にすることです。

それまでの青汁のイメージは、「不味い」「飲みづらい」といったマイナスのものでした。
しかし「青汁とはそういうものだ」と一般的に認知されていたため、既存メーカーは飲みづらいまま変化させませんでした。

そこに競争優位性を見出した三崎氏は、フルーツテイストの飲みやすい「すっきりフルーツ青汁」を開発。
それまでになかった商品のため、他社より競争優位性を持つことができました。

ネット広告の活用

もう一つが、ネット広告の活用です。

「青汁とは、基本的に年配の人が飲むもの」そんなイメージがあるからか、三崎氏が青汁市場に参入した2014年は、ネット広告している企業はほぼゼロ。
ほとんどの企業が、テレビCMや新聞、折込チラシ、雑誌広告を広告媒体として使っていました。

もちろんそれらは一定の効果を見込めますが、膨大な広告費が掛かります。
「同じフィールドで広告を打っても、すでに参入している企業には勝てない」と考えた三崎氏は、ガラ空きだったネット広告をメインにしたのです。

ネット広告中心の戦略を取った結果、広告費を抑えることができ、同業他社が参入していないため広告効果も十分にありました。

3. 他社を徹底的に調べる

おそらく競争優位性という考え方自体は、ビジネスをしている人ならご存知でしょう。
三崎氏のポイントは緻密な市場調査を元に、競争優位性を徹底的に考えたことにあります。

三崎氏は青汁を開発するにあたり、同業他社の製品を一覧にし、価格はもちろん成分や作っている工場、広告手法、起用タレントなどわかる情報すべてを丹念に調べ上げました。
それらを見ながら、「比較して優位に立てる点はないか」と考えたのです。

ビジネスをやっているなら、競合他社の動向を気にしない人はいないと思います。
しかしここまで競争優位性に焦点を当てて考える人は、少ないのではないでしょうか。

色々なことに応用できる

「市場を領土と捉える」
「競争優位性を徹底的に考える」
これらは、メーカーだけに当てはまるものではありません。
金銭が絡まなくても例えばTwitterやブログなど、人が使うものには何にでも当てはまります。

そして製品やサービスを作る多くの人は、「自分の特徴は何か」「自分ができることは何か」と自分視点で考えようとします。

しかしよく考えてみると、その製品やサービスを選ぶのは消費者なのです。
消費者にとって、「他と比較してこちらが良い」と思えるものがないと、いくら自分が良いと思っても選んでもらえません。

大切なのはマーケティング

三崎氏は本の中で、「マーケティングがすべて」と書いています。
この徹底した買い手の立場に立ったマーケット感覚が、三崎氏の成功の秘訣だと思いました。

商品やサービスを販売するビジネスを起業するのであれば、「何を売るか」よりも、「どうマーケティングするか」をまず考えるべきでしょう。

『時を稼ぐ男 新時代の時間とお金の法則』より

物語形式でマーケティング戦略を学べる本に、『白いネコは何をくれた?』があります。
三崎氏の本でマーケティング戦略に興味を持ったなら、こちらもおすすめします。
以下の記事で、本のレビューをしています。
>> 『白いネコは何をくれた?』レビュー【マーケティング戦略】

ビジネスセンスある人の考え方

YouTubeやTwitterで、三崎優太氏を知る人はいると思います。
ぼくもそんな一人です。
「色物の人なのかな」と思っていましたが、ビジネスセンスがすごくある人と認識を改めました。

時を稼ぐ男』はお金の稼ぎ方というより、「ビジネスセンスのある人はこういう視点なのか」と参考になる本でしたね。
興味が出てみたら、手にとってみてください。