IPv4からIPv6へ変えるとなぜ回線は速くなる?【PPPoEとIPoE】

公開日 2021-11-02 最終更新日 2021-11-02

自宅用インターネットを検討すると、「IPv6対応で速い」といった文言を見かけます。
ぼくはなんとなくのイメージで、「IPv4よりIPv6のほうが速いのだろう」と思っていましたが、「ぼんやりした知識でなく、きちん理解したい」と思い立ち、色々調べてみました。

そこでこの記事では、「IPv6にすると、なぜ自宅のWi-Fiは速くなるのか」をできる限り丁寧に解説してみます。

IPv4からIPv6へ変えるとなぜ回線は速くなる?【PPPoEとIPoE】

まず覚えておきたいのは、データ通信の規格にはIPv4とIPv6の二種類があるということです。

  • IPv4
  • IPv6

IPv4のほうが古くからあり、IPv6はその次の規格になります。

IPv4とIPv6の違い

この2つの違いは、発行するIPアドレスの量にあります。
IPアドレスとは、ネットに接続するスマホやコンピュータに割り当てられる住所のようなものです。

このIPアドレスを、IPv4は43億も発行できます。
43億は途方も無い量に思えますが、すでにその数を使い果たそうとしています。

これからはスマホやパソコンだけでなく、自動車や家電製品などあらゆるものにネットがつながります。
となると、もはやIPv4でまかない切れないのは自明のこと。
そこで新しく、IPv6というデータ通信の規格が作られたのです。

IPv6は、340澗(かん)のIPアドレスを発行できます。
澗(かん)とは聞き慣れない値ですが、10の36乗を表します。
1兆の桁数が12桁なので、その3倍以上あります。
ほぼ無限といってよい数ですね。

「IPv6=速度が速い」というわけではない

IPv6の登場で、IPアドレス枯渇の心配はなくなりました。
つまりIPv6は「IPアドレスを増やせた」という意味であって、それだけで回線は速くなりません。

回線の速度は、IPv6への接続方式に関係しています。

接続方式には、PPPoE接続とIPoE接続がある

インターネットの接続方式には、PPPoE接続とIPoE接続とがあります。

  • PPPoE接続
  • IPoE接続

理由は後述しますが、単純にIPoE接続のほうが速度は出ます。
IPv4は、PPPoE接続しかできません。
一方、IPv6はPPPoE接続とIPoE接続の両方ができます。

そのためIPv6を選択するとその多くはIPoE接続になるため、結果的にIPv4よりも速度が出るのです。

IPoE接続できるIPv6は必然的に速度が速くなる

つまり、「IPv4よりIPv6のほうが速い」という表現は、厳密には正しくないのです。
「PPPoE接続しかできないIPv4より、IPoE接続もできるIPv6のほうが、結果的に速度が出る」がより正しい表現です。

IPv6そのものが、回線の速さの原因ではないのですね。

PPPoE接続とIPoE接続の違い

PPPoE接続より、IPoE接続が速いのはわかった。
ではこの2つでは、何が違うのでしょうか。

PPPoE接続はダイヤル回線時代の名残り

インターネットが登場し始めたころ、接続はダイヤル式電話などで使われていたダイヤル回線を使うことになりました。
そのときに使われた接続方法は、PPP接続と言われるものです。

その後、より高速なADSL回線が登場します。
ダイヤル接続のPPP方式をADSLにつなげるために、規格を変更する必要が出てきました。
そこでPPP接続をアレンジした、PPPoE接続が登場したのです。

ダイヤル回線時代の名残のPPPoE接続が、今でも使われているわけです。

PPPoE接続は、ネットワーク終端装置を通るから速度が遅くなる

PPPoE接続では、必ずネットワーク終端装置を通じて接続する必要があります。
その理由は、ADSL回線ではアナログ信号をデジタル信号へ変換するため。
光回線では、光信号をデジタル信号へ変換するためです。

ちなみにADSL回線のネットワーク終端装置を「モデム」、光回線のネットワーク終端装置を「ONU」と言います。

このネットワーク終端装置はプロバイダごとに設置されており、一度に通れる回線の量が決まっています。
夜間などにネットが遅くなるのは、このネットワーク終端装置に一気に回線が集中するためです。

ネットワーク終端装置で回線が混む状態は、料金所に車がたまって渋滞している高速道路をイメージするとわかりやすいと思います。

インターネット接続のためのIPoE接続が誕生した

その後、新しくIPoE接続が登場しました。
IPoE接続はダイヤル回線など関係なく、最初から直にインターネット接続するために生まれた接続方式です。

IPoE接続は、最初からインターネット接続として開発されたので、ネットワーク終端装置を必要としません。
先程の高速道路の例えを用いると、渋滞の原因となる料金所が存在しない状態です。
そのため特定の時間帯に回線が集中しても、渋滞の発生する箇所そのものがないため、回線速度をいつでも速く維持できるのです。

IPv6の速度が速い理由のまとめ

以上が、IPv6を使うと回線速度の速くなる理由です。
まとめると、以下になります。

  • IPv4は、PPPoE接続しかできない
  • IPv6は、PPPoE接続とIPoE接続の両方に対応
  • PPPoE接続はネットワーク終端装置を必要とするため、混む時間帯に速度が低下する
  • 一方、IPoE接続はネットワーク終端装置を必要としないため、いつでも速度が出る
  • よってIPv6のIPoE接続にすると、回線の渋滞が発生しない
  • 結果的に、IPv6を選択すると回線速度が速くなる

「IPv4 over IPv6」は、両方に切り替えるハイブリッド

最後に、よく聞く「IPv4 over IPv6」とは何かを解説します。

IPv6を使うには、プロバイダの設定や対応ルータの準備が必要です。
それだけでなく、ウェブサイトのサーバもIPv6に対応しないと見れません。
しかし執筆時現在は、IPv4からIPv6への移行期。
ウェブサイトのサーバは、まだ多くがIPv6に対応していません。

そのため、IPv6のウェブサイトを見るときは、従来のIPv4に切り替える必要があります。
このIPv6からIPv4へ自動で切り替える仕様を、「IPv4 over IPv6」といいます。

ガソリンと電気の両方を切り替えて走る、ハイブリッド車のプリウスのような感じですね。
プロバイダが提供しているIPv6は、IPv4に自動切り替えする「IPv4 over IPv6」が標準になっているはずです。

まとめ

これまでぼくは、「IPv6にすれば速度が出る」と漠然と思っていましたが、「IPv6でIPoE接続にすれば速度が出る」が正しかったです。

プロバイダの中にはIPv6への切り替えに設定が必要なものもあるし、楽天ひかりのように設定無しで「IPv4 over IPv6」に対応しているものもあります。

ちなみにぼくは、楽天ひかりに今年の2月に切り替えました。
楽天のIPv4 over IPv6(クロスパスという名称)に対応しているルータを購入し、回線速度も100Mbps以上は常時出ていて快適に使えています。

楽天ひかりのレビューは、以下の記事に詳しく書いたので参考にしてみてください。

>> 楽天ひかりの使用3カ月の評価【速度良しで1年間無料がやはり大きい】

自宅のインターネット回線の速度は、速いに越したことはありません。
現状でIPv4を使っているひとは、プロバイダの設定や対応ルータを用意して、IPv6に切り替えていきましょう。