仕事をしたつもりになっていないか。この作業で成果を得られるか、と行動する前に考えてみよう

公開日 2021-05-28 最終更新日 2021-06-01

「なぜその作業をしているのか」と聞かれて、答えられますか。

ご存知のように日本の一人あたりの生産性は、先進国の中で最低レベルです。
2019年の日本の一人当たり労働生産性は81,183ドルで、OECD加盟37カ国中26位(『労働生産性の国際比較 2020』より)。
その理由のひとつには、「仕事をしたつもり」のマインドに問題がありそうです。

先日読んだ海老原 嗣生さん著『仕事をしたつもり』は、タイトル通り、ぼくたちが日常的に行っている無駄なことをあぶり出してくれます。
この記事では、『仕事をしたつもり』のレビューをします。

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仕事をしたつもりになっていないか。この作業で成果を得られるか、と行動する前に考えてみよう

パソコンやスマートフォンの登場など、ビジネスツールはどんどん進化しています。
一昔前はスーパーコンピューターでしかできなかった処理を、小さなスマートフォンが瞬時にこなす時代です。

本来ならツールの発達に伴い、生産性が上がり、ぼくたちの働く時間は少なくなるはず。
ところが、現実はそうなっていません。
むしろ労働時間は、どんどん増えているように思えます。
これは、なぜでしょうか。

やる必要のない仕事が増えている

労働時間が増え続ける理由のひとつは、やる必要のない仕事が増えているからです。
労働生産性がアップし利益が増えれば、会社は大きくなります。
会社が大きくなると、上下関係や部署間の関係が複雑になり、余計なルールが増えます。
そして会議が増え、資料作りにも膨大な時間を費やすようになりました。

その結果、いわゆる「仕事のための仕事」が増えています。
会社勤めのひとに「これは何のための作業ですか」と聞いたとしても、答えられないものが多くありそうです。
こういった無駄な作業が増え続けると、いつしかその会社には、「量の神話」が生まれます。

会議の資料はペライチでよい

量の神話で思い浮かぶのは、会議のたびに配られる膨大な資料です。
果たして会議の資料は、それほどたくさん必要なのでしょうか。
量を出さないと安心できない、「量の神話」におちいっていないでしょうか。

膨大な資料を用意して、ただそれを読み上げるために会議する。
これほど無駄なことはありません。
資料を一斉メールし、「各自、読んでおいてください」と伝えれば済みます。

会議に資料を用意するなら、むしろペライチのほうが情報は伝わりやすいです。
本当に必要な要点だけを書いておけば、会議中に質問が多く出て、議論も活発になるでしょう。

勤務時間が量で評価される

会議だけでなく、「量の神話」は勤務時間の長さにも見られます。
理不尽なことに、効率よく仕事をこなし定時に帰るひとより、不必要な作業をして残業する人のほうが会社では評価されます。

これも会議の資料と同じで、質の高さや効率の良さより、量の多さが評価されているのです。
「自分たちは、量の神話にとらわれている」と、まずは認識すること。
これが、「仕事をしたつもり」から一歩抜け出すポイントです。

「仕事をしたつもり」へ至る3段階

ひとは一気に、「仕事をしたつもり」へ到達するわけではありません。
「仕事をしたつもり」のマインドになるまでには、三つの段階があります。
その三つとは、以下です。

  1. 思考の放棄
  2. 安易に実行する
  3. その行動が評価される

3段階は、以下のように日々の業務で流れていきます。
その仕事が必要かどうか考えず(思考の放棄)、周りがやっているからと実行し(安易に実行する)、上司に褒められる(その行動が評価される)。

会議の膨大な資料に当てはめると、以下になります。
膨大な資料が必要かどうか考えず(思考の放棄)、これまでみんながやっているからと実行し(安易に実行する)、「よくそれだけの資料を用意したな」と上司に褒められる(その行動が評価される)。

このサイクルを繰り返すうち、「仕事をしたつもり」が会社全体で強化されていきます。

報酬が最もたちが悪い

3段階の中で最もたちが悪いのは、3の「その行動が評価される」です。
無駄なことをすればするほど、社内的に評価され、出世するのです。
報酬を得られるからこそ、ひとはその行動を選択しつづけます。

膨大な資料も長時間労働も、本来、行動に対する結果が伴わないならやるべきではありません。
しかし日本の多くの会社では、仕事の成果ではなく、行動そのものが評価されます。
これでは、「仕事をしたつもり」はいつまでもなくならないでしょう。

どうすれば「仕事をしたつもり」から抜け出せるか

「仕事をしたつもり」へおちいる、サイクルはわかりました。
では、どうすればこのサイクルから抜け出せるか。

ひとつには、上司からの評価や周りの行動を気にせず、「自分がこれをやることで、どんな成果を得られるのか」と問い続けることです。

考えるときの3ステップ

「自分がこれをやることで、どんな成果を得られるのか」。
この考えを分解すると、3つのステップに分けられます。

目的 → 成果 → 手段

まずはそれを行うための「目的」を設定し、得られる「成果」を算出する。
その上でやる価値があると思えたら、ようやく「手段」を考えるようにするのです。

仕事をしたつもりになるほとんどのひとは、目的と成果を考えず、すぐに手段を選んでいます。
そのため「なぜその手段を選んだのか」と聞かれても、「周りがやっているから」「以前からこうすることになっているから」と右へならえの答えが返ってきます。

手段を決定する前に「目的 → 成果 → 手段」を考え、行動したあとにも「目的 → 成果 → 手段」をもとに振り返れば、無駄な仕事は徐々に減っていくでしょう。

小さなことからチャレンジする

といっても、すぐには「仕事をしたつもり」から抜け出せません。
なぜなら大部分の無駄な行動には、報酬が発生しているからです。

会議のために分厚い資料を作れば、「よく準備したな」と多くの上司は褒めてくれるでしょう。
非効率なやり方で残業すれば、残業代がもらえます。
しかも周りも非効率にやっているから、同じことをしていれば失敗しても怒られません。
これら報酬の発生する環境から抜け出すのは、実際にはとても難しいです。

保身をやめる

抜け出すための第一歩として、まずは保身をやめてみましょう。
「仕事をしたつもり」の要因の多くは、保身だからです。

そして小さなことからで良いので、チャレンジしてみましょう。
例えば会議の資料を、いつもの半分にできないかチャレンジしてみる。
周りの目が気になって定時に帰りづらいとしても、少なくとも週に一度は早く帰るチャレンジをしてみる。
こうして少しずつでよいので、「仕事をしたつもり」から抜け出くのです。

その結果、空いた時間を自分への投資やリフレッシュ休暇へと当てれば、いっそう仕事の質は高くなるはずです。

まとめ

タイトルですべてを語っている本ではありますが、「なるほど」と思える部分がいくつもありました。
仕事は、ほとんどが同じことの繰り返し。
非効率なやり方に慣れると、そこから抜け出すのは難しいです。

その中にあっても、「この作業の目的と成果は?」と行動する前に考えるのを癖にする。
すると、徐々に行動が変わっていきそうに思えます。
「もっと仕事の時間を、効率よく使いたい」と考えている人は、『仕事をしたつもり』を読んでみてください。

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