新iPad miniでApple戦略を理解【3グループに分けられる】

公開日 2021-09-16 最終更新日 2021-10-24

2021年9月15日、新型iPhoneと合わせて、新しいiPad miniが発表されました。
世代的には第6世代にあたります。
通しナンバーを振るなら、iPad mini 6です(公式サイトにはiPad miniとだけ表記されています)。

iPad miniは一時期、廃番も噂されました。
2019年に4年の沈黙を破り、突如iPad mini 5が登場。
その2年後の2021年に、大幅リニューアルして新しいiPad miniの発表となりました。

第6世代のiPad miniの特徴を確認すると、AppleのiPadに対する戦略が見えてきます。
iPad miniを刷新したことで、抜けていたピースがすっぽりはまったように思えるのです。
この記事では新型iPad miniの特徴から、Appleが描いている(であろう)iPad全体の戦略を見てみます。

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新iPad miniでApple戦略を理解【3グループに分けられる】

まずは、iPad miniの歴史をざっと振り返ります。
iPad miniの初号機が登場したのは、2012年でした。
当時は小型iPadの要望がユーザから強くあり、iPad miniは歓迎ムードで迎えられました。

その後、2013年、2014年、2015年と毎年リニューアルされましたが、2015年のiPad mini 4を最後に更新が止まってしまいました。
iPad miniのファンは2019年までの4年間を、やきもきして過ごしたと思います。

空白の4年間

なぜ2015年から次のモデルの2019年まで、4年も空白があったのでしょうか。
その理由は推測するしかありませんが、普通に考えれば「iPad miniの売上が芳しくなかった」のでしょう。

売上の減少はiPad miniに限ったことでなく、タブレット市場そのものに言えたように思えます。
Appleは2015年に12.9インチのiPad Proを投入し、アップルペンシル第1世代を同時に発売しました。
その後、2016年に9.7インチのiPad Proを新たにラインナップに加えましたが、当時を思い出してもiPadが盛り上がっていた印象はありません。

AndroidもSONYやシャープ、Googleなどが、次々とタブレット市場から撤退。
2010年にiPadが生まれてから5年以上が経ち、市場が緩やかに下降していきました。

iPadに対する失望

市場が下降したのは、ユーザがタブレットの評価を定めてしまったからです。
数年使ってみたユーザにとって、タブレットの評価とはどのようなものだったか。
ぼく自身がそうだったのですが、それは「以下のような感じでは?」と想像します。

  • タブレットとは、しょせんスマートフォンを大型化しただけのものである
  • タブレットは、パソコンの代わりにはならない

最初にタブレットに飛びついたユーザは、「パソコンに変わるデバイスになる」と期待したと思います。
しかし世代が刷新されても、初号機から製品の機能が抜本的には変化しない。
コンテンツを消費するにはいいが、仕事には使えない。
いつしかそんな評価がかたまり、iPadに失望したのではと思います。

ただのコンテンツ消費デバイスとして見れば、iPadは高額です。
新製品が登場してもiPhoneのように買い替えのモチベーションは起こらず、徐々に盛り上がりに欠けていったのです。

こういった状況下で、小型版であるiPad miniの開発がストップしたのは理解できます。
チップを刷新する程度のいわば「惰性のリニューアル」を続けては、ジリ貧になると判断したのだと思います。

大幅に刷新、再び注目を集める

そんな低迷していたiPadに、転機が訪れます。
それが2018年に登場した、iPad Proです。

それまでの底面へ掛けてカーブを描いていた形状を一新し、全面を角張ったものにしました。
同時にベゼル幅を狭め、iPadの印象をスタイリッシュにしたのです。

第2世代アップルペンシルは革新的だった

さらに2018年のiPad Proで最もエポックメイキングだったのは、アップルペンシルのリニューアルです。

初代のアップルペンシルは、お世辞にも使いやすいとは言えませんでした。
一般的な筆記具のペンに比べ、長く重くて書きづらい。
おまけに充電は後ろのキャップを外し、Lightningコネクタに直接つなぐ必要がありました。

使わないときにはiPadと別に保管する他なく、しばらく使わなければバッテリー切れになる始末。
ぼくも購入してみましたが、使い勝手の悪さにほとんど使わなかった記憶があります。

それら使いにくさを、2018年発売のiPad Proとアップルペンシル第2世代では一新しました。
アップルペンシルを短く軽くして持ちやすくし、マグネットで本体とくっつけることで、収納と充電のしやすさを同時に実現しました。

2018年の新製品発表会ではiPad用のPhotoshopのデモも行われ、「新しいiPad Proは、仕事用デバイスとして可能性があるのではないか」と再び注目を集めたのです。

ミドルエンド向けiPad Airをリニューアル

さらにAppleは2020年に、立ち位置の微妙だったiPad Airもリニューアルしました。
iPad Proとほぼ同じ形状に刷新し、2世代目のアップルペンシルを使えるようにしたのです。

カラーリングも多彩で、iPad Proより価格が安い。
「iPad Proほどお金を掛けたくないが、それなりに使えるiPadがほしい」と考えるライトユーザにとって、iPad Airは手頃で魅力的な製品となりました。
そこに今回、2年ぶりの新型となるiPad miniが加わったわけです。

iPad miniは、iPad Air miniである

では、今回のiPad miniの特徴を見てみましょう。

  • 形状はiPad Proとほぼ同じ
  • ベゼル幅がiPad Proより太い
  • チップはiPhoneと同じAシリーズ(A15 Bionic)
  • 第2世代のアップルペンシルが利用可能
  • ロック解除は本体の端で指紋認証する(フェイスIDは不可)
  • カラーリングが全4種と豊富
  • カメラはシングルレンズ

こうして書き出すと、新型iPad miniの特徴はiPad Airと瓜二つです。
つまりiPad miniはリニューアルすることで、「iPad Airの小型版」のポジションに収まったのです。

iPadのラインナップは3つのグループに分けられる

ここで、iPad全体のラインナップを整理してみます。
特徴からグループ分けすると、iPadのラインナップには明確に以下3つのグループが存在します。

  1. ハイエンド
  2. ミドルレンジ
  3. ローエンド

1. ハイエンド

  • iPad Pro 12.9インチ
  • iPad Pro 11インチ

ハイエンドのグループは、2サイズのiPad Proです。
外見の特徴として、本体のベゼル幅の狭さとデュアルレンズがあります。
12.9インチには、Liquid Retina XDRディスプレイも搭載。

当然ながら、アップルペンシルは第2世代を使用できます。
ロック解除はiPadシリーズで唯一、フェイスIDで行います。
そして最も大きな特徴として、MacBookと同じM1チップを使用しています。

2. ミドルレンジ

  • iPad Air
  • iPad mini

iPad AirとiPad miniは、ライトユーザ向けのミドルレンジです。
アップルペンシルは、iPad Proと同じく第2世代を使えます。

iPad Proと形状は似ていますが、少しベゼル幅が太いです。
カメラはシングルレンズ。
ロック解除は、指紋認証のみです。
それらiPad Proより劣る部分の代わりといっては何ですが、多彩なカラーリングが用意されています。

チップには、iPhoneで使われるAシリーズの最新型を使用。
外見はiPad Proと似ていますがスペックは全体的に落としてあり、その分、手頃な価格で買えるのが特徴です。

3. ローエンド

  • iPad(無印)

無印のiPadは、エントリーモデルです。
形状はエッジが底面に掛けて曲線を描く、初代からのデザインを引き継いでいます。
ホームボタンも顕在で、認証はタッチIDのみです。

スクリーンの材質や使用チップは、ハイ・ミドルに劣ります。
アップルペンシルも使えますが、第1世代のみ対応です。
コネクタもiPadシリーズで唯一、Lightningコネクタとなっています。

全体的なスペックがハイ・ミドルより劣る代わり、低価格なのが魅力。
最も容量の少ないモデル(64GB)で、4万円以内で購入できます。
エントリーモデルとしてだけでなく、学校や店舗でも導入しやすいですね。

iPhoneも同じように、3つのグループにできる

またこれは余談ですが、iPhoneも同じように3グループに分けられます。

ハイエンド → iPhone Pro、iPhone Pro Max
ミドルレンジ → iPhone、iPhone mini
ローエンド → iPhone SE

サイズの違いやホームボタンのあるなし、ミドルレンジのカラーリングの豊富さなど、iPadのラインナップと類似点がかなりありますね。
iPadとiPhoneに関しては、この3グループで展開すると決めたのでしょう。

まとめ

ジョブズがいなくなって以来、新製品発表会のたびに、iPhoneやiPadのラインナップは増え続けました。
Appleファンのぼくとしては、「このままカオス化していくのだろうか」と心配した時期があります。

しかしiPhoneにしろiPadにしろ、発売当時に比べ今は市場が成熟しています。
ニーズの細分化によりラインナップが増えるのは、マーケット戦略的に当然と言えます。
その中でiPadは一時期、迷走したように思えましたが、ここにきてラインナップが整理されてきました。

Appleファンは必要・不必要に関わらずiPad Proを買うでしょうし、「そこまでAppleに思い入れがないけど、性能の良いiPadがほしい」と思えば、iPad AirもしくはiPad miniを選択するでしょう。
iPadの無印は、低価格が魅力。
初めてのiPadにもってこいです。

こうしてグループ分けしてみると、Appleはすべてのセグメントに向け最適なiPadを用意しています。
Appleの抜け目ない戦略を理解できました。
ユーザとしてはこの中から最適なものを選び、快適なiPadライフを送りたいですね。

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iPad Pro11インチを、2018年モデルと2021年モデルとで比較しました。
2018年モデルを持っていて買い替えを考えている人は、参考にしてみてください。

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