『お金か人生か』レビュー。9ステップでFIREを達成する

ブックレビュー

とても良い本を読んだので、紹介します。
タイトルは、『お金か人生か ―給料がなくても豊かになれる9ステップ』。
原題もそのままで、“Your Money or Your Life”です。

タイトルだけみるとスピリチュアル系の精神論の本かと思いますが、いやいや、かなり実践的なお金に関する本です。

この本では経済的に自立するための方法を、9ステップで紹介しています。
実際にこのステップ通りに実行すれば、確かに「給料がなくても豊かな状態」になれそうです。

では 「給料がなくても豊かな状態」とは、どういう状態なのか。
またどうすれば、そうなれるのか。
その9ステップを順に紹介します。
(9ステップをすべて紹介したら、ものすごく長い記事になりました)

『お金か人生か』レビュー。9ステップでFIREを達成する

そもそも「経済的自立」を目指すなら、その状態を定義しなくてはなりません。
この本では経済的自立を、以下の2つの状態としています。

  • 支出より収入が上回っている状態
  • お金を必要としないマインドになっている状態

この2つを見ると、「あ、すでにオレはこの状態だわ」という人もいるかもしれません。
そんな方は、以下の記事を読む必要はありません。
しかし大部分の人は、そうでないかもしれません。

消費せずにいられない世の中

支出より収入が下回っているなら、生活が成り立ちません。
これは達成できていても、「お金を必要としないマインド」にはなかなかなれません。
なぜなら現代は、誰もが消費せずにいられない環境だからです。

テレビやネットを通じ、広告を1日に何度も目にします。
広告は「これを買うと生活が良くなりますよ」もしくは、「これを買わないと生活が良くなりませんよ」と、あの手この手で我々の財布の紐を緩めようとします。

街を歩けば素敵な服を着ている人を見かけ、友人からは新しい時計や車の自慢をされます。
ドラッグストアに立ち寄れば、セール品が「今が買い時です」と山積みになっています。

こんな世の中では、財布を開かず1日を終えるのは、そうとう難しいです。

アメリカは1人あたり132万円以上の借金

特にアメリカは消費大国です。
この本によると、2017年のアメリカの家計の借金は、3.7兆ドル(約440兆円)を越えています。
1人当たり、1万1000ドル(約132万円)です。

必要なものだけでこんな消費額になるわけなく、みんな余計なものまでせっせと購入しているのです。

さらに学生ローンや住宅ローン、自動車ローンなど大きな借金もあります。
借金を返すため長時間労働をし、そのストレス発散でまた消費する。
これではいつまで経っても、経済的自立に到達できません。

自分にとって「十分」の地点を知る

もちろん消費は、生きる上で必要です。
生活必需品だけでなく、余暇や快楽で浪費もするでしょう。

それら消費や浪費をひっくるめて、人間には「この地点で十分に満足」と思える地点があります。
その地点を越えて消費したところで、幸福度は上がりません。
むしろ余計なものが家に増えることで、ストレスが溜まります。

消費をやめられない3つの理由

なぜ人は「十分」の地点を越えても、消費をやめられないのでしょうか。
その理由は3つ。

1つは先ほど書いたように、広告の存在があります。
生活をしていて広告を見ない日はありません。
テレビやネットだけでなく、新聞、雑誌、街の看板、ポスター、店の中も購買意欲をそそる商品のパッケージだらけ。
何度も同じ商品の広告を目にすれば、「そんなに話題なのか…」とつい買ってしまう。
そんな経験は誰にもあるでしょう。

2つめは、見栄です。
合コンがあるからと、無理してブランド品を買う。
隣の家が良い車を買っていれば、影響を受けて高級車を買う。
同級生に話して恥ずかしくないような、年収の高い会社に入る。
そうして人と自分とを比べることで、十分の地点を遥かに越えた消費をするのです。

見栄の消費については、以下の記事で掘り下げて記載しています。
>> 見栄にお金を使うのはやめよう【地位財と非地位財】

3つめは、「消費は消費を呼ぶ」です。
必要以上にものを買えば、より大きな家が必要になります。
高い車を買えば、メンテナンス費用も高くなる。
高価なジャケットを買えば、シャツや靴も良いもので揃えなくてはなりません。
そうして消費をすればするほど、生活に余計なお金が掛かっていくのです。

消費スパイラルから抜け出す

消費をすると、当然ながらその分、お金を稼がなくてはなりません。
そのため残業時間を伸ばしたり、副業をしたりして、無理して収入を増やします。

休みをきちんと取らず長時間労働を続けると、当然ながらストレスがたまる。
ストレスを発散するため、また消費に走る。
終わりのない消費のスパイラルです。

本書ではこの状態を脱し、仕事せずとも「十分」な消費で豊かに暮らす方法をコーチングします。
その方法のロードマップは、簡単にいえば以下のような感じ。

  • 資産を把握する
  • 収支を把握する
  • 支出を減らす
  • 収入を増やす
  • 余剰分を投資へ回す
  • 投資からの運用益だけで生活できる水準を達成する

こうやって箇条書きにするとなんだか簡単そうですが、本の内容を実際にやるとしたら結構たいへんです。
そして実践すると、経済的自立に近づけると思います。

では次から、その9ステップを紹介します。

経済的自立の実現への9ステップ

経済的自立を実現するためのステップは、9段階に分かれています。
それらは以下の通りです。
一つずつ紹介していきます。

  1. 過去に折り合いをつける
  2. 現状把握
  3. 毎月の支出表を作る
  4. あなたの人生を根本から変える3つの質問
  5. 生命エネルギーを可視化する
  6. 生命エネルギーを大切にする(支出の最小化)
  7. 生命エネルギーを大切にする(収入の最大化)
  8. 資本とクロスオーバーポイント
  9. 経済的自立に到達した後の投資

1. 過去に折り合いをつける

最初のステップが、いちばん面倒です。
おそらくここで、この本を読んだ人の99%が挫折するでしょう(実際に自分もやっていません)。

まずは、現在の資産の状態を確認します。
それも手に取って触れられるくらい、「解像度高く」です。

現在の資産の状態とは、以下の項目を指します。

  • これまでに稼いだ金額の合計
  • 現在の純資産

「これまでに稼いだ金額の合計」を計算する

会社員なら、これまで稼いだ金額を出すのは割と簡単でしょう。
給与振り込みを合計すれば良いですね。

さらにそれだけでなく、学生時代のアルバイト代や、子どもの頃にもらったお年玉、お手伝いしたときのお駄賃、メルカリなどで品物を売却した際の金額など、稼いだ金額のすべてを計算します。

こうしてこれまで稼いだ金額を合計すると、想像以上にお金を稼いできていることに気づきます。
おそらくその金額の多くは消費で消えているでしょうが、それでも「自分の稼ぐ力」を確認すると、自信が出てくるはずです。

この自信が、経済的自立を達成する上で必要になります。

「純資産」を計算する

次に、現在の純資産を計算します。

純資産は、資産から負債を引くことで導き出せます。
資産は現金はもちろんのこと、有価証券や不動産の評価額なども含みます。
さらに車や洋服、インテリア、ガジェットなど、所持しているものを売却した場合の金額も足していきます。

負債は、抱えている借金です。
クレジット残高や、住宅ローン、自動車ローン、個人的な借金など。

資産と負債の金額が出たら、「資産 – 負債」で純資産を出します。
こうして純資産を出すと、経済的自立に向けてのモチベーションが高まります。
負債を抱えている人は純資産を見て、「返そうと思えば、全額を返せるじゃないか」と気づくかもしれません。

ちなみにですが、Macを使っている人なら会計ソフトのiComptaを使うとローンやクレジット残を引いた金額を常に把握できて便利です。
以下の記事で、iComptaを解説しています。
>> Mac資産管理アプリはiComptaが秀悦【現状をひと目で確認】

2. 現状把握

モチベーションが高まったところで、より実践的な内容に入ります。

そもそも、お金とは何でしょうか。
毎日、気にすることなく使っているお金ですが、こうして改めて質問されると答えに困るかもしれません。

この本ではお金を、以下のように定義しています。

お金 = 自分の時間と引き換えに得られるもの

学生でも会社員でも自営業でも、お金を得るためには時間を差し出す必要があります。
いうまでもなく時間とは、自分の命そのもの。
つまり我々は命の一部と引き換えに、お金を得ているわけです。

我々はお金のために生命エネルギーを差し出している

この本では我々の時間を、「生命エネルギー」と呼んでいます。
では生命エネルギーとお金は、どのくらいの換金率で取引しているのでしょうか。

もちろんそれは、人によって変わります。
例えば会社員の場合、収入を勤務時間で割れば時間給を簡単に出せますね。

ただし「収入 ÷ 勤務時間」だけでは、正確な時間給はわかりません。
というのも会社員であれば、家と会社との通勤時間がかかります。
その通勤時間も勤務時間に入れる必要がある。

スーツ着用が必要であれば、その購入費用がコストとしてかかります。
ストレス度の高い仕事であれば、リフレッシュのため飲みに行ったり旅行に行ったりと、余計な時間とお金が掛かります。

高額のものを買って使わないのは本当に無駄

そういった時間やコストを含めて計算した結果、実質的な時間給が1,000円だったとしましょう。
「1時間 = 1,000円」なら、1,000円を得るため生命エネルギーを1時間分、差し出していることになります。

レストランで8,000円のディナーコースを頼んだなら、8時間分の生命エネルギーを差し出したのと同じことです。
3万円の洋服を買ったなら、30時間分の生命エネルギーを差し出したのと同じです。

その3万円の洋服を何度も何度も着用するなら、30時間に値するでしょう。
しかし洋服は、気に入らないからと数回しか袖を通さないことってあります(特に高級服はそうですね…)。
その場合、限りある生命エネルギーの30時間分を、ほぼ無駄に使ったことになります。

生命エネルギーに値する消費をしているか

「消費には、生命エネルギーを差し出している」と、実感できたでしょうか。
そのことを前提とした上で、月の支出表を作ってみましょう。
実際、何にお金を使っているのか、可視化してみるのです。

あなたは、生命エネルギーを差し出すに値する支出を毎月しているでしょうか。

3. 毎月の支出表を作る

ステップ2で支出表を作ったら、さらにそれをカテゴリー分けします。

カテゴリー分けといえば、「食費」「交通費」「交際費」などの区分けがイメージできます。
そういった大きな区分けから一歩考え方を進めて、行動に基づいたより細かい区分けをします。

例えば「食費」は、「家での食事」と「外での食事」に分けられます。
さらに家でとる食事は、「家族だけの食事」と「ゲストを迎えての食事」に分けられます。
「外での食事」も、「疲れて作れないときの外食」と「特別なディナーとしての外食」に分けられます。

こうして行動に即してカテゴリーを分けていくと、支出の傾向が見えてきます。
頻繁に登場するカテゴリーと、そのトータル金額を確認してみてください。
そのカテゴリーは、生命エネルギーを差し出すほど価値あるものでしょうか。

4. あなたの人生を根本から変える3つの質問

ステップ4では、支出表をさらに深掘りします。
3で分けたカテゴリーを、以下の3つの質問で評価します。

  1. 差し出した生命エネルギーに見合うだけの、充足感、満足感、価値を得たか?
  2. その生命エネルギーの使い方は、自分の価値観や人生の目的と調和しているか?
  3. もしお金のために働く必要がなくなったとき、このお金の使い方はどう変わるか?

それぞれのカテゴリーに1〜3の質問を投げかけて、「価値を得ている」や「調和している」など、ポジティブな答えの場合は「+」と評価します。
その反対に「価値を得ていない」や「調和していない」など、ネガティブな答えの場合は「-」と評価します。

すべての評価が終わったら、もう一度カテゴリーを確認してみてください。
「マイナスが多くついてるカテゴリーは、支出を少なくすべき」と客観的な評価をくだせると思います。

5. 生命エネルギーを可視化する

ここまでのステップで、以下のことがわかりました。

  • 現在の資産の状況
  • 何に支出しているか
  • 価値観や目的に合っていない支出は何か

これらを知ることで、支出を引き締める意識が自然と生まれますね。
その上でこれからの収支は、グラフへ記入していきます。
このグラフのことをこの本では、「ウォールチャート」と読んでいます。

ウォールチャートには縦軸に金額、横軸に時間を入れます。
そして月ごとに収入と支出それぞれの位置を点で記入し、折れ線グラフを作っていきます。

最初のうちは、収入より支出が上回る月があるかもしれません。
しかしそのうち節約の意識が高まり、支出が下がっていくはずです。
その収入と支出の空いた部分が、貯蓄になります。

収入と支出をウォールチャートに記入していく(『お金か人生か』より)
収入と支出をウォールチャートに記入していく(『お金か人生か』より)

6. 生命エネルギーを大切にする(支出の最小化)

お金を貯めるには、収入よりも支出を少なくしなくてはなりません。
しかし現代は消費への誘惑が多く、なかなか抑えることができません。

このステップでは、支出を減らすためのいくつかのヒントを紹介します。

買う前によく考えてみる

例えば、最近買ったものを振り返ってみてください。
ひょっとしてまだ使えるにも関わらず、新しいものに買い替えていませんか。
まだ使えるなら、買い替えは無駄な支出です。

もし壊れてしまったとしても、自分で直せないか検討してみてはどうでしょうか。
今ではYouTubeなどで、そのやり方が紹介されています。

必要なものがあるときは、「広告でよく見るから」といった理由では買わないようにします。
広告でよく見る商品には、広告費が価格に上乗せされています。
選択の幅を広げ、質が良くてより手頃な価格で買えるものがないか調べてみてください。

7. 生命エネルギーを大切にする(収入の最大化)

支出を抑える一方、収入を増やすことも考えていきます。

収入を得るためには、仕事をしなくてはなりません。
まずは仕事に対する意識を変えてみましょう。

仕事を重要にしすぎている

多くの人は、仕事を重要に感じています。
「重要にしすぎている」といっていいくらいです。

大切に感じている人ほど、時間の多くを仕事に費やします。
特に雇われている場合、長時間労働が常態化し、労力に対しての報酬が見合ってないとしても、会社をやめる選択をなかなかできません。

なぜか。
それは会社に対して、金銭以上のものを求めているからです。
金銭以上のものとは、やりがいや自己実現、自己成長などです。
しかしこれらを望んでいるなら、「会社に多くを期待しすぎている」という見方ができます。

仕事とはお金を稼ぐための手段

なぜ仕事をするのか。
その原点に立ち返ると、その目的は「お金を得るため」です。
その根源的な目的をやりがいや自己実現などと混ぜてしまうと、自分の時間を安く売ることになりかねません。

まずは仕事を、やりがいや自己実現とは切り離して考えましょう。
自分の時間給を上げるためにはどうすればいいのか、つまり収入の最大化を目指すよう意識を変えるのです。

収入を最大化して1日でも早く経済的自立を達成できれば、そのあとにやりがいや自己実現へと生命エネルギーを存分に向ければよいのです。

もちろん「収入を最大化するためだから」と、健康を害するほど無理して働いたり、価値観に合わない仕事をするのはダメです。
それらを避けて、収入を最大化できないか考えます。

お金が稼げるなら正社員にこだわる必要はない

そうして仕事と自己実現などを切り離して考え、「仕事 = お金を稼ぐ手段」として明確に定義すると、雇われ仕事にこだわる必要がなくなります。

お金を稼ぐ手段は、正社員になって働くだけではありません。
デイトレーダーでもマンションの家賃収入でも投資家でも、稼ぐ手段はいろいろとあります。

8. 資本とクロスオーバーポイント

支出を抑えて、収入の最大化を目指す。
その状態が実現できると、余剰分が出てきます。

余剰分は「自分へのご褒美」と称し、使ってはいけません。
それではいつまでも雇われ仕事から抜け出せません。
余剰分はインデックスファンドなど投資へ回し、お金をお金で稼ぐようにします。

経済的自立の達成地点

グラフには支出と収入に加え、余剰分から投資した金額も記入していきます。
するとそのうち、投資からの運用益が支出を上回る地点へ到達します。
このポイントをこの本では、クロスオーバーポイントと呼びます。

クロスオーバーポイントにたどり着くことが、この本の目的のひとつ。
投資からの運用益が支出を上回るということは、もはや生活のために仕事をする必要がなくなるということです。

お金の心配がなくなれば、自分の時間(生命エネルギー)をすべてをやりたいことへ使えます。
クロスオーバーポイントを越えることこそ、「経済的自立」達成の証になるのです。

収入・支出・投資額をウォールチャートへ記入していくと、投資の運用額が支出額を上回る将来の地点を予測できます。
その予測がつけば、「ここまで仕事を続ければ、経済的自立が達成できる」とモチベーションが高まりますね。

ウォールチャートから経済的自立のポイントを予測できる(『お金か人生か』より)
ウォールチャートから経済的自立のポイントを予測できる(『お金か人生か』より)

9. 経済的自立に到達した後の投資

経済的自立に達成した後も余剰分を長期投資へ回し、資産を大きくしていきます。
資産が大きくなればなるほど、生命エネルギーを自分の好きなことへ自由に使えます。
経済的自立を、より盤石なものへとしていきましょう。

この本はFIREへの実践的ロードマップを提示している

以上が、この本で紹介されている「経済的自立」への9ステップです。

もう一度、フローをおさらいします。
手順的には、以下のような感じです。
これを9ステップで、実践的に書いたのがこの本の内容です。

  • 資産を把握する
  • 収支を把握する
  • 支出を減らす
  • 収入を増やす
  • 余剰分を投資へ回す
  • 投資からの運用益だけで生活できる水準を達成する

FIREという言葉があります。
「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとった略称で、投資の運用益のみで支出をまかなえる状態を指します。

FIREは、まさにこの本が紹介している経済的自立と同じ。
この本ではFIREへのロードマップを、実践的に紹介しているのです。

「なるほど」と思える考え方がたくさん書いてある

FIREを目指すにせよ目指さないにせよ、この本からは学べることがたくさんありました。

  • お金とは生命エネルギーを引き換えに得ているもの
  • 消費の「十分」の地点を知る
  • 生命エネルギーを使って何をやりたいか考える
  • 仕事を「金銭を稼ぐ手段」と認識する(やりがいや自己実現とは切り離す)

こういったことは、この本のオリジナルの考え方だと思います。
読んでいて「なるほど」と、膝を打つ思いがしました。

少し話が回りくどい箇所があり、本自体も結構ボリュームがあります。
読破するのにそれなりの時間はかかりますが、興味が出てきたら『お金か人生か ―給料がなくても豊かになれる9ステップ』を手に取ってみてください。

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